▼現代につくられたら、悪影響と避難される慣用句・コトワザ
現代では残酷的・暴力的なシーンを持つ作品が避難されやすいです。
※近年は特にマンガ・アニメが避難の対象にされやすい。
そんな創作物ですら、残酷的・暴力的なものは避難されるのですから、字面そのものが暴力的なものも避難されることでしょう。
そして、慣用句・コトワザにもそんなコトバがあります。
▽面の皮を剥ぐ
という いかにも恐ろしい字面のコトバ。
文字通りの意味として「面の皮をひんむく」の意味を持っています。
そして、慣用表現として「ずうずうしく振る舞う人の正体をあばいて、面目を失わせる」という意味があります。
出典:デジタル大辞泉「面の皮を剝ぐ(つらのかわはぐ)」
ずうずうしく振る舞う人の正体をあばいて、面目を失わせる。面の皮をひんむく。
▽慣用句とはいえ「面の皮を剥ぐ」に納得できる?
たとえば、上司が次のようなグチを言っていたとします。
😤「(部下の)黒田のヤツ、同僚にあいさつもしないくせに、同僚が置いていたオミヤゲは すぐさま食べ始めて厚かましいヤツ… そのうち"面の皮を剥ぐ"つもりだ!」
↑
これは上司としては、厚かましい部下の黒田に対して、何かしらの仕事上の失態を指摘して面目を失わせて、調子に乗らせないようにしようという気持ちで言っている可能性が高いです。
しかし、文字通りの意味しか知らないと、聞いていた部下は「この上司怖い」と思います。
それだけでなく、「犯罪予告」として警察や社長に訴える人もいるかもしれません。
仮に"面の皮を剥ぐ"の慣用的な意味を知らなくても、辞書で調べることもできます。
そこで、辞書を調べたら「ずうずうしく振る舞う人の正体をあばいて、面目を失わせる」という意味がある・・・
だからといって、その表現を使うことに納得できるかという問題です。
つまり、「辞書に載っている意味で使うなら、どんなコトバも好きに使っていいのか?」という話です。
▽危険な表現を用いた人が逮捕された実例がある
「面の皮を剥ぐ」ではありませんが、同様に字面が危険な表現を用いた人が過去にいました。
その人は「コウナゴをヤキコロス」というのを別表記で書いたため逮捕されました。
その事件が載っていたMSN産経ニュースのarchivesのLinkが下のURLです。
http://web.archive.org/web/20080721003924/http://sankei.jp.msn.com:80/affairs/crime/080716/crm0807161657034-n1.htm
魚の1種「コウナゴ(コオナゴ)」を当て字「小女子」で表記したのです。
その「小女子」という字面を見た人はどう思うでしょう?
当て字の1つとはいえ、「小女子」という字面は「小さな女の子」を連想します。
そもそも当て字なので、それが必ず優先されるわけではありません。
「小女子(しょうじょし)」という「年若い女子・少女」の意味で解釈するのが優先される可能性が高いです。*1
そんな「年若い女子・少女」を「焼いて殺す」みたいな書き込みをしてはいけません。
たとえ、それが「動植物名よみかた辞典」に載っていたり、当て字系のネット記事に書かれていたとしてもです。
😏「魚の1種のことだから、犯罪予告ではない!」
という主張は ふつう通りません。
▽「面皮を剥ぐ」を慣用表現として使うのは非推奨
「面皮を剥ぐ」を慣用表現として使うのは非推奨と考えています。
【非推奨なわけ】
・「面の皮を剥ぐ」という予告は「犯罪予告かな」という勘違いを生む
・勘違いではなく文字通り「面の皮を剥ぐ」の意味で使っても犯罪
・暴力的な表現の中でも殴る蹴るなどよりも、さらに残酷な表現
・慣用表現とはいえ、そもそもあまり使われないコトバなので慣用表現としての効果が薄い
▼おわりに
とくに語彙力にしか目がいかない愚か者は、こういった見聞きしたことがない慣用句を見つけると、覚えたがります。
そこで覚えるのは問題ありませんし、むしろ知識はあるに越したことはありません。
しかし、愚か者は ここからが違います。
😚「きっと、このコトバを知っているのは、ボクチャンしかいない。」
と考え出します。まあ、まだこの段階ならいいでしょう。
しかし、愚か者は ここからが問題。
😚「この珍しいコトバを使って、みんなを驚かそう!」
という考えになります。
今回の「面の皮を剥ぐ」のように、使うことで問題が起こりそうなどとは考えず、自己顕示欲のためにコトバを発するのみです。
※これは「使う」とすら言えません、「発しているだけ」です。
この記事を読んだミナサンは、こんな愚か者にならないように!!笑
▼オマケ「類語表現」
「面の皮を剥ぐ」の「面の皮」を漢語化して「面皮(めんぴ)」としたものもあります。
それが「面皮を剥ぐ めんぴをはぐ」で、意味は、同じと考えてよいです。
単純に辞書ごとの説明の仕方が異なるレベルの違いです。
出典:精選版 日本国語大辞典「面皮を剥ぐ めんぴをはぐ」
厚かましい者をはずかしめる。つらの皮をむく。
※異端者の悲しみ(1917)〈谷崎潤一郎〉三「故人の霊に敬意を表して、彼の面皮を剥いでやらうとする者はなかった」 〔裴氏語林〕
【記事編集用Link】
https://blog.hatena.ne.jp/peaceheart/onbin.hateblo.jp/edit?entry=4207112889942967808
【KEYWORD ZONE】
kw: つらのかわをはぐ、つらのかはをはぐ、つらのかわをはく、面の皮を履く、ツラノカワヲハグ、turanokawawohagu、面の皮を剥ぐ、面の皮を剝ぐ、面の皮をはぐ
めんぴをはぐ、めんひをはく、麺火を吐く、メンピヲハグ、mennpiwohagu、面皮をはぐ、面皮を剥ぐ、面皮を剝ぐ
kw:ぽりてぃかるこれくとねす、ほりていかるこれくとねす、彫りて怒るコレクトネス、ぽりてぃかるこねくとねす、ほりていかるこねくとねす、彫りて怒るコネクトネス、
political correctness、politicalcorrectness、ポリティカル・コレクトネス ポリティカルコレクトネス ポリティカル・コネクトネス
poricthikarukorekutonesu、ぽりこね、ほりこね、ポリコネ、porikone、堀コネ、
ぽりこれ、ポリコレ、ほりこれ、porikore、堀これ・
tng0turanokawawohagu
*1:精選版 日本国語大辞典「しょう‐じょし セウヂョシ【少女子・小女子】」 〘名〙 =しょうじょ(少女)① ※小学読本(1873)〈田中義廉〉一「汝は、此小女子を見しや」 出典:精選版 日本国語大辞典「しょう‐じょ セウヂョ【少女】」 〘名〙 ① 年若い女子。おとめ。むすめ。少女子。また、姉妹の、下の子。小女。 ※三代実録‐貞観九年(867)一〇月四日「僕有二一少女一。願令レ薦二枕席一」 ※名語記(1275)六「少女のひなあそびとて、人形をつくりすへたる」 〔史記‐趙世家〕 ② 令制で、一七歳以上二〇歳以下の女子。 ※正倉院文書‐大宝二年(702)御野国味蜂間郡春部里戸籍「次牟依売 年十九少女 次真依売 年十七少女 次床嶋売 年十五小女」