和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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「目一杯(めいっぱい)」を「名一杯」と書く誤字。日本語の性質上「めいいっぱい」表記は間違いと言い切れない

 

▼「名一杯」という不思議な文字列

 ネット上で下のようなTweetを見つけました。

https://twitter.com/smQjak7vUHhtDdZ/status/1599308744957263874

https://twitter.com/mototutuki/status/1591805214021279744
   ↑
 文脈から察するに意味としては「めいっぱい(目一杯)」と言い表そうとしていたのでしょう。
 それを誤字で「名一杯」と書いてしまっています。


【原因】
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 原因としては、「めいいっぱい」と入力した際の第一変換候補が「めいいっぱい」で、それを漢字にしようとした人が第二変換候補の「名一杯」を選んでしまっているためでしょう。
※これは、いわゆる「クソ変換」の一種です。

 

▼「名一杯」は「目一杯」の誤字

 さきほども書きましたが「名一杯」は「目一杯(めいっぱい)」のことでしょう。
※文脈から察せられる。

【誤字】
・名一杯歌ってきました
・名一杯楽しむ
   ↓
【正しくは】
・目一杯歌ってきました
・目一杯楽しむ
(・めいっぱい歌ってきました)
(・めいっぱい楽しむ)

▼「目一杯」って何?

▽「目一杯」の用法

 「目一杯」とは「限度いっぱい」のような意味で使われます。

▽先程の2つの文のニュアンス

【目一杯歌ってきました】
・限界まで歌ってきました
・満足するまで歌ってきました
※意味というよりは、伝えたいことです。

【目一杯楽しむ】
・自分の楽しむの限度まで楽しむ(要は満足するまで楽しむ)
・楽しめるだけ楽しむ
※意味というよりは、伝えたいことです。

 デジタル大辞泉「めいっぱい【目一杯】」では「限度いっぱいであること。また、そのさま。」とありますが、娯楽として使う際には「満足するまで」などのニュアンスが含めて使う人が多いです。

▽「目一杯」の由来は? なぜ、この漢字?

🤔「そもそもなんで、"目(め)"+"一杯(いっぱい)"なの?」
 😀「まず、目は"目盛り"を指しています。」
🤔「ほお…」
 😀「デジタル大辞泉によれば、"ハカリの目盛りいっぱいであること"の意味を持つそうです。」

🤔「じゃあ、"限度いっぱい"の意味も間違い?」
 😀「デジタル大辞泉によれば、そちらは転じた意味だそうです。転じて慣用化されているので間違いとは言えませんね。」

🤔「"ハカリの目盛りいっぱい"だから、限界とか限度であるということか〜」
 😀「転じた意味である"限度いっぱい"の意味で使うほうが多くなってますよね。」

🤔「じゃあ、"名一杯"は、語源としても転じた意味としても関係ないのね。」
 😀「そうですね。完全な誤字です(笑)。」

 

▽「目一杯」なので読みに関して言えば「めいいっぱい」ではなく「めいっぱい」

 漢字を見れば、「めいいっぱい」と読まないことは分かりますね。

 しかし、それは「あくまでも読み」であり、「発音」ではありません。
 つまり、発音に関しては「めいいっぱい」でも問題ありません。
 さらに言えば、日本語はコトバのナマリを別表記で表記して、同義語として別見出しに辞書に収録されることも多い言語です。

 そのため、「めいいっぱい」という発音だけでなく、文字としての「めいいっぱい」という表記も、「絶対に間違いだ!」とは言えません。

▽発音ナマリが許容されていて、どちらも使われる例

 たとえば
・さびしい
・さみしい
 どちらも聞いたことがあると思います。
 これは、元の音が「さびしい」とされています。出典:デジタル大辞泉小学館)。

 とはいえ、「元の音"さびしい"しか認めない!」だとか、「"さみしい"と書いたら間違いだ!」とか、そんな意見はありませんよね。

 もちろん、長く使われてきたから「さみしい」も認められたというのもあります。
 では、その理論で言うと、おそらく「めいっぱい」が、初めて使われだした時期も、ナマリで「めいいっぱい」と発音していた人はいたはずです。
 日本語とは、ナマリも別語として認めてしまう言語なのです。
 そんな言語を使っている人間が「めいいっぱい」を間違い扱いするのは、おかしい話ですね。

▼おわりに「漢字表記するな」

▽文字としての「名一杯」は論外

😓「分からないなら無理して漢字表記するなよ…」
 という考えを持った人もいたでしょうし、ワタシも そういう考えです。
 ヒラガナ表記「めいいっぱい」であれば、発音・表記のナマリとして許容範囲。
 しかし、文字としての漢字表記の誤字「名一杯」はいけません。

▽「名一杯」は表記は罪か?

 現時点で、この表記が「目一杯・めいっぱい・めいいっぱい」の表記数より多くなってしまっているということはありません。
 その場合は、コトバが誤字に汚染されているほどではありませんし、流行っていることもありません。
 とはいえ、こういったものは何かのキッカケで誤字が流行して表記数が「目一杯・めいっぱい・めいいっぱい」よりも多くなる可能性も秘めています。

 そのため、「名一杯」という表記が増えないように、みんなで抑制しましょう。

▽現在の「名一杯」の誤字率

 Yahoo!リアルタイム検索30日分@20221204~06の調査では、「目一杯」34168件+「めいっぱい」28833件の合計が「63001」件です。
 それに対し「名一杯」は128件なので、現時点で多いワケではありません。

 

▼参考

【出典文】
雑俳・削かけ(1713)「さいて見や・とんと貴様が目一ぱい」
歌舞伎・謎帯一寸徳兵衛(1811)序幕「浮牡丹と申す香炉、性来は身が請合ひどうぞ目一杯(メいっパイ)頼みます」

【辞書情報】
デジタル大辞泉「めいっぱい【目一杯】」
[名・形動]秤はかりの目盛りいっぱいであること。転じて、限度いっぱいであること。また、そのさま。副詞的にも用いる。「目一杯まで詰め込む」「目一杯な(の)サービス」「目一杯がんばる」

 

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