和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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屋溜(オクリュウ)・屋椽(オクテン)。普通の日本人からしたら「なんじゃそりゃ」な語。漢和辞典・字通にしか載らないような漢語の非一般性。【非一般的な日本語】


onbin.hateblo.jp
【"屋溜"って何!?】漢字ペディアに書かれていた意味不明な熟語「屋溜(おくりゅう)」とは
https://onbin.hateblo.jp/entry/tng0okuryuu
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 こちらの記事で、コメントをいただきまして、''屋溜''が載っている辞書があったそうです(ありがとうございます)。
 和語の里の手元にあった漢和辞典に載っていたため、この記事を前回の記事の続きとして書きました。

漢和辞典にあった屋溜(オクリュウ)

 旺文社 漢和辞典(1986年 重版)の p 389にて、
>>【屋溜】オクリュウ(ヲクリウ) 屋根からのあまだれ
 として、載っていました。
※出典:旺文社 漢和辞典(1986年 重版)

▼載っていたが、日本語として使用すべきかどうか考えもの

 旺文社 漢和辞典は、精選版 日本国語大辞典ですら拾っていないような漢熟語まで 詰め込んでいます。
 要は、日本人の言語生活と離れた「マニアックな漢語・漢文傾向の強い外国語的な漢語」まで収録しています。

▽なぜ、マニアックな漢語が収録される?

 旺文社 漢和辞典は、「漢字・漢文の学習辞典」を謳っています。

https://www.obunsha.co.jp/product/detail/077734
出典:旺文社 標準漢和辞典 第七版 | 旺文社
>> 旺文社が自信を持ってお勧めする、中学生の漢字・漢文学習にぴったりな漢和辞典です。
>> ●日常生活から漢文学習入門まで必要十分な熟語、約4万語を精選して収録

 つまり、日本語として市民権を得ている漢語だけではなく、「マニアックな漢語・漢文傾向の強い外国語的な漢語」をも収録しているのが強みの一つであると言えます。

▽問題点も

 ただ、漢和辞典において、
【A】日本人の日常生活で使われる漢語
【B】漢文傾向の強い外国語的な漢語

 これらA・Bを 区別するマークのようなものは ありません。

 ということは、漢和辞典を熟読した子供は、日本人に通じない漢熟語を乱発するモンスターに変貌する危険性も含んでいます。

 "屋溜"に限らず、旺文社 漢和辞典には「【屋椽】オクテン(ヲクテン)」という語も収録しています。
 屋椽(オクテン)とは「家のたるき」と書かれています。
※「たるき」は建築用語の「垂木(たるき)」と思われます。「屋根下地や屋根材を支える部材のことであり、屋根なり(斜め方向)に設けられた木材」という意味。※出典:建築用語集~垂木 - DAIKEN - 大建工業「垂木」。https://www.daiken.jp/buildingmaterials/glossary/materials/roofrafters/

 このオクテンも、普通の国語辞書に載っていることは少ないコトバです。
 漢和辞典の他、平凡社の「字通」という辞書に載っています。

出典:旺文社 漢和辞典(1986年 重版)【屋椽】オクテン(ヲクテン)
家のたるき。

出典 平凡社「普及版 字通」【屋椽(読み)おくてん】
たるき。

 この「字通」は、漢和辞典と紹介されていたり、漢字辞典と紹介されていたりするものです。
 そのため、日本人が使うような漢語以外のマニアックな漢語も収録されています。
 ただ、こういった辞書に載っていることは日本語としての市民権を得ていることとイコールではありません。

▽使ってみたら…

 この「屋椽」も いきなり使われても、聞いている側は理解不能という反応をする人が9割9分でしょう。

😀「今住んでいる家のオクテン(屋椽)を修理してもらうんだ!」
 🤔「は? オクテン…? 奥の天井(オクノテンジョウ)かなんかか? オレの国語辞書に載ってなかったぞ。」

😀「オクテン(屋椽)も 知らないの? ぷっぷー、漢和辞典に載ってるぜ!」
 😠「お前アホだろ、そんな一般的にも使わない上に、国語辞書に載ってない外国語みたいな漢語なんて、普通知らねえよ。自分が異常者だというのも気づかないのか、かわいそうに…」

😀「え? 僕が異常だったの?」
 😠「ちっとは、世間と まともに会話する機会を増やせよ。だから、使うコトバの非一般性にも気づかないんだよ、このヒキコモリ!」

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 これは、極端な会話例を出しましたが、実際に自分が使うコトバの非一般性に気づかないで、そのコトバを知らない人をバカにする人は 世の中に結構見られます。

▼コトバの非一般性

 「非一般的なコトバを使うのが絶対に悪い」だとか、「外国語を使うのが絶対に悪い」だとか、そういう極論ではありません。

 使うのは自由です。なんなら、変に規制はしないほうがいいでしょう。
 ただし、それが通じない可能性が高いということを理解しておくべきです。
 
 そして、世間で使われるコトバを目にする機会をつくるべきです。


ネットスラングを知らない人の前で使う人と変わらない

・語尾を「〜ンゴ」
・美味しいヤミー感謝感謝
・ワラタ
リア充爆発しろ
 などのインターネット上(BBS・SNSなど)で使われる定型句・語尾・単語などがあります。

 それらは、インターネット上のやりとりを していたり、見ていたりしないと、知らないネットスラングです。

 実際に、語尾「〜ンゴ」という表現がネット上でされることがあるというのを知らない人が、使われたら下のように反応することでしょう。

 😁「今着ている服は、新しい服。昨日買ったンゴ!」
😰「え、何その"ンゴ"って? 気持ち悪いんだけど…」

 オクリュウ・オクテンも漢和辞典に載っているからと言って、日常生活の会話で使うと、相手は「?」を浮かべるでしょう。
 また、音の響きとしても、「オクリュウ」は、なんかのアニメかゲームの「龍(リュウ)」の名前なのかと思われたり、オクテンの音の響きもマヌケに感じる人もいそうです。

▼そもそもすべての漢語が日本語なのか?

 漢和辞典や字通などにしか収録されないような漢語、そういったマニアックな漢語は そもそも 日本語なのか?
 そんな疑問もあります。
 漢語と日本語の区別をつけなければ、中国でしか使われていないような熟語も日本語扱いになってしまいます。

 和語の里としては、屋溜(オクリュウ)・屋椽(オクテン)などを日本語扱いするというのは、抵抗があります。

【記事編集用Link】
https://blog.hatena.ne.jp/peaceheart/onbin.hateblo.jp/edit?entry=6801883189052495676

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