和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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【KazuKotoba 6】「六(むゆ)」「むそじ(六十路)」「明け六つ(あけむつ)」【6】

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※「@ddj」=デジタル大辞泉からの意味抜き出し。
※「@ssn」=精選版 日本国語大辞典から意味抜き出し。

 

大和言葉「六」としての読み】

」=数としての「6」。順数えのときの「6(ろく)」に同じ。@ssn。

※辞書では、「み(三)」の母音変化により倍数を表わしたものかと推測されている

 

むゆ」=辞書では「む(六)」の古形かと推測されている@ssn

 

むう・むー」=「ひいふうみいよういつむうななやァこのとう」と数えるときに長音化しがちであり、発音上の音を見出しとして辞書にそのまま載っている。@ssn

 

 

 

大和言葉以外での読み】

 

ろく」「ろく」=6。6つ。六番目。
④ =むさし(六指)③〔物類称呼(1775)〕
[2] 〘接尾〙 (「贅六(ぜえろく)」「宿六(やどろく)」などの「ろく」からいったものか) 人を表わす語に付けて、その人をいやしめののしっていう場合に用いる。

 

りく」「りく」=6。6つ。六番目。@ssn

 

 

りゅう」= (「六」の唐宋音から) 数の六(ろく)。清楽(しんがく)の音符または拳(けん)などで用いる。むつ。@ssn

ろんじ」=6・60・600など。駕籠舁(かごかき)・馬方仲間などの符丁。@ssn

 

 

▼「六」に関わる時間の言葉

六日むいか」=月の6日目・つながった6日間・隔たれた6日分の日数@ssn。

※平安・鎌倉時代の仮名書き例はすべて「むゆか」で、「むいか」に変化したものと見られる。中世末ころに交替したと思われる。(精選版 日本国語大辞典 参考)

 

六日むゆか」=月の6日目・つながった6日間・隔たれた6日分の日数・ある事があった日から数えて六日目。

 

六日むゆか」=死としての意味は「散々(さんざん)」を「三三」の意にかけて「死んだ人を忌んでいう語」

 

六日むよか」= 東北方言での「むいか(六日)」@ssn。

※「むゆか(六日)」の変化した語

 

 

 

六時むつどき」=現在の午前六時頃、または、午後六時頃※。@ssn

※中古から近世における時刻の呼び方「明け六つ」「暮れ六つ」ともいい、太鼓や鐘で知らせた。

 

六時ろくじ」=24時間中の6時。午前12時中の6時、午後12時中の6時。「昼の六時」「夜の六時」※。

【昼の六時】午前6時→午後6時の12時間※

【夜の六時】午後6時→午前6時の12時間※

 

※おそらく、ピッタリ6時ということではなく、大雑把に6時頃と考えられる。

【昼の六時】卯(う)午前6時(午前5時から午前7時)→酉(とり)午後6時(午後5時から午後7時)

【夜の六時】酉(とり)午後6時(午後5時から午後7時)→卯(う)午前6時(午前5時から午前7時)

 

 

六時ろくじ」=仏語としては、「晨朝・日中・日没(にちもつ)・初夜・中夜・後夜(ごや)」など@ssn。詳しくは、精選版 日本国語大辞典「六時」参照




明け六つあけむつ」=「むつどき」の午前のほう。今でいう午前5~7時頃。また、その時刻に鳴らす鐘。@ssn

※昔の時刻名。明け方の六つ時

 

暮れ六つくれむつ」=「むつどき」の午後のほう。今の春でいう午前6時半頃・今の夏でいう午前7時半頃。今の秋でいう午前6時頃。今の冬でいう午前5時すぎ、その時刻に鳴らす鐘。それの刻限に鳴らす鐘@ssn

※昔の時刻名。

 

 

 

 

▼「六」に関わる言葉

 

六つむつ・むっつ」=数値としての6。6個。6つ。6番目。6歳。@ssn

 

六つむつ」=ときに関わる「むつどき」という言葉を「むつ」と言い表すことがある。「むつどき」は別で説明。@ssn

 

六種ろくしゅ」=六つの種類。@ssn


六種むくさ」=ろくしゅ(六種)。ムクサのタキモノ@ssn」

※「くさ」は種類の意

 

六角ろっかく」=六つの角(かど)。六角形、またはその形なるもの。@ssn

 

六穴ろっけつ」=人体の六つの穴。すなわち、目、口、鼻、耳、肛門、陰部の。@ssn

 

六十路むそじ」=ろくじゅう。むそ。また、六〇年。六〇歳。@ssn

※辞書では「六十むそじ」表記もある。これは、数としての「ろくじゅう」「むそ」の意味があるからだろうか。

 

六寸ろくすん」=6寸=約18cm人。 呼ぶための代金(揚げ代)が「六百文」である遊女の異称。※江戸の遊里での遊女や芸者。

 

 

▼おわりに

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 「6・六」に数値や数え方以外の用法が見つかると思いきや、ほとんどありませんでした。

 おそらく、数値としてではなく、言葉としての6というのは、人として認識しにくい概念だと考えられます。

 

 


精選版 日本国語大辞典「六・陸」の解説
ろく【六・陸】

[1] 〘名〙
① 数の名。む。むつ。むっつ。また、六番目。
※万葉(8C後)一六・三八二七「一二の目のみにはあらず五六(ろく)三四さへありけり双六(すごろく)のさえ」
神楽笛龍笛高麗笛(こまぶえ)・篳篥(ひちりき)などの孔(あな)の名。吹口(ふきぐち)の反対側からかぞえて、指孔が六孔の神楽笛高麗笛は第六番目、七孔の龍笛は第七番目、九孔の篳篥は第五番目の孔をいう。また、その孔を用いる音の名。〔簾中抄(1169‐71頃)〕
③ 和琴箏の絃名。十三絃の箏では低い音から六番目、和琴では奏者に近い手前から数えて六番目。
④ =むさし(六指)③〔物類称呼(1775)〕
[2] 〘接尾〙 (「贅六(ぜえろく)」「宿六(やどろく)」などの「ろく」からいったものか) 人を表わす語に付けて、その人をいやしめののしっていう場合に用いる。
りく【六・陸】
〘名〙 =ろく(六)

 


精選版 日本国語大辞典「六」の解説
むゆ【六】

〘名〙 (「む(六)」の古形か)
① 六つ。中古・中世にわずかな例が見られる。
※書紀(720)雄略九年五月(図書寮本訓)「韓奴(からやつこ)室(むろ)、兄(え)麻呂、弟麻呂、御倉(みくら)小倉(をくら)、針六口(ムユ)を以て」
② 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの六。むう。む。
※年中行事秘抄(12C末)鎮魂祭歌「一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)むゆ七(なな)八(や)九(ここの)十(たりや)」
[補注](1)①の挙例「書紀」の「六口」は六人の意。沖縄の宮古方言では人数六人のことを「むゆのひと」というから、「六口」の訓の「むゆ」も「むゆのひと」という訓の一部だけを示したものか。
(2)②のように口で数を唱えるときも古くは「むゆ」であり、日数六日も古くは「むゆか」であったから、「むゆ」は「む」から変化したのではなく、その逆の可能性がある。
む【六】
〘名〙 (「み(三)」の母音変化により倍数を表わしたものか)
① むっつ。名詞・助数詞の上に付けて用いる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「相撲出でて、いつ手む手ばかりとりて」
② 物の数を声に出して順に唱えながら数えるときの六(ろく)。実際に唱えるときには「いつむーなな」のように長く発音することもある。むう。
※名語記(1275)四「ひふとて、手に石ふたつをもちてかはりがはりたまにとるに、ひふみよいむなやこと、といへるは」
むう【六】
〘名〙 (「む(六)」を延ばして発音した語) 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの六(ろく)。
※洒落本・青楼夜世界闇名月(1789‐1801)局廛宵多話「ひいふうみいよういつむうななやァこのとう十一、トかぞへる内に」
りゅう【六】
〘名〙 (「六」の唐宋音から) 数の六(ろく)。清楽(しんがく)の音符または拳(けん)などで用いる。むつ。
浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)中「拳の手品の手もたゆく〈略〉はま、さんきう、ごう、りう、すむゐ」
ろんじ【六】
〘名〙 六や六〇・六〇〇などをいう、駕籠舁(かごかき)・馬方仲間などの符丁。
※雑俳・うき世笠(1703)「きりきりと・ろんぢを分るかごの者」

 

 

 


精選版 日本国語大辞典「六つ」の解説
む‐つ【六つ】

〘名〙 (「つ」は接尾語)
① 一の六倍の数。ろく。六個。むっつ。
※古今(905‐914)仮名序「そもそも歌のさまむつなり」
② 第六番目。
※古今(905‐914)仮名序「そもそも歌のさまむつなり〈略〉むつには、祝ひ歌」
③ 年齢の呼び方で、六歳。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「御子むつになり給ふ年なれば、このたびは思し知りて恋ひ泣き給ふ」
④ 中古から近世における時刻の呼び方で、現在の午前六時頃、または、午後六時頃にあたる。それぞれを「明け六つ」「暮れ六つ」ともいい、太鼓や鐘で知らせた。むつどき。
浄瑠璃・碁盤太平記(1710)「それでも成まい一つをいて、六つの鐘、山寺の春の夕べを来て見れば」
[補注]現代語の「むっつ」は江戸時代に「むつ」から生まれた形。
むっ‐つ【六つ】
〘名〙 「むつ(六━)」の変化した語。現代では、「むつ」よりも一般的に用いられる。〔倭語類解(17C後‐18C初)〕

 


精選版 日本国語大辞典「六日」の解説
むゆ‐か【六日】

〘名〙 (「むいか」の古形か)
① 日の数六つ。また、六日間。むいか。むよか。
※源氏(1001‐14頃)松風「今日は、六日の御物忌あく日にて」
② 暦の月の初めから六番目の日。むいか。
※高野切古今(905‐914)雑体・一〇一四・詞書「ふみつきのむゆかの日たなばたのこころをよみける」
③ 特に、端午節供の次の日の五月六日のことを、月を明示せずにいう。六日の菖蒲。むいか。
④ ある事があった日から数えて六番目の日。六日目。
※今鏡(1170)一「御かどかくれさせ給てむゆかといふに、かしらおろして」
⑤ (散々(さんざん)を三三の意にかけていうところから) 死んだ人を忌んでいう語。〔俚言集覧(1797頃)〕
むい‐か【六日】
〘名〙 (「むゆか」の変化したもの)
① =むゆか(六日)①〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕
② =むゆか(六日)②
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)五「おなじ月の初の六日〈略〉明巍(みゃうぎ)の神社(やしろ)に参詣す」
③ =むゆか(六日)③
④ 特に、正月六日のこと。江戸時代には、この日の朝五つ時より、江戸ならびに遠国の寺僧・社人・山伏などの登城拝賀の日とした。《季・新年》
俳諧・大悟物狂(1690)春「六日八日中に七日のなづな哉」
[語誌]平安・鎌倉時代の仮名書き例はすべてムユカ。中世末のキリシタンのローマ字文献にはムユカとムイカの両形が見え、このころ交替したと思われる。
むよ‐か【六日】
〘名〙 (「むゆか(六日)」の変化した語) 東北方言で「むいか(六日)」のこと。


精選版 日本国語大辞典「六時」の解説
ろく‐じ【六時】

〘名〙
① 仏語。昼夜を六分した念仏読経の時刻。すなわち晨朝(じんじょう)・日中・日没(にちもつ)・初夜・中夜・後夜(ごや)の称。
※霊異記(810‐824)中「六時毎に願ひて云はく」 〔阿彌陀経〕
② 仏語。阿羅漢には時を待って解脱をうるものと、時を待たないで解脱をうるものの二種があり、その前者が解脱をうる勝れた縁となるときを六つかぞえたもの。好衣や好食・好臥具・好処所・好説法・好同学を得るときに解脱するという。〔阿毘曇毘婆沙論‐五一〕
③ 時刻の名称の一つ。一昼夜を二十四分した、その六番目の時刻。また、一昼夜を午前と午後とに分け、それぞれを十二分した、それぞれの六番目の時刻。
④ 昼夜を六等分して一二時にした時刻法の半日。明六つ(卯刻)から暮六つ(酉刻)までは昼の六時、酉から卯までが夜の六時。
むつ‐どき【六時】
〘名〙 =むつ(六━)④〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕

 

 

精選版 日本国語大辞典「明六」の解説
あけ‐むつ【明六】

〘名〙 昔の時刻名。明け方の六つ時、すなわち今のおおよそ午前五時~七時頃。また、その時刻に鳴らす鐘。⇔暮六つ。
俳諧・小町踊(1665)春「初春やはや明むつに祝哥〈不見〉」

 


精選版 日本国語大辞典「くれ‐むつ【暮六】」

〘名〙 昔の時刻の名。江戸時代には、酉(とり)の刻の真中(正刻)。日没後、現行時では、春は午後六時半ごろ、夏は七時半ごろ、秋は六時ごろ、冬は五時すぎ。この時刻に時鐘を六つ打った。暮れの六つ時。また、その刻限に鳴らす鐘。⇔明け六つ。
東海道分間絵図(1690)二「暮六つより明六つまで、御門の内、人不レ通」

 

 

精選版 日本国語大辞典「ろっけつ【六穴】」
〘名〙 人体の六つの穴。すなわち、目、口、鼻、耳、肛門、陰部の六つをさす。
浄瑠璃近江源氏先陣館(1769)九「六穴よりほとばしる血汐は滝のごとくにて

 

精選版 日本国語大辞典「ろっかく ロクカク【六角】」
[1] 〘名〙
① 六つの角(かど)。
② (形動) 六角形。また、六角形になっているさま。底面が六角形の立体のこともいう。
続古事談(1219)四「此木を切て六角の小堂を作て」
[2] 「ろっかくどう(六角堂)(二)」の略。
仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上「祇園・清水・賀茂・春日、六波羅・六かく・今熊野、豊国の大明神」

 

精選版 日本国語大辞典「ろっかく ロクカク【六角】
姓氏の一つ。

 

精選版 日本国語大辞典「ろくしゅ【六種】」
〘名〙 六つの種類。→六種震動。
※今昔(1120頃か)一「我が果報をば天地の知れる也と。此く説給ふ時に、大地六種に震動し」
む‐くさ【六種】
〘名〙 (「くさ」は種類の意)
① 「ろくしゅ(六種)」に同じ。
② 「むくさの薫物(たきもの)」に同じ。

 

精選版 日本国語大辞典「むそじ ‥ぢ【六十・六十路】」
〘名〙 (「じ」は接尾語) ろくじゅう。むそ。また、六〇年。六〇歳。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「あなをさな。いちかむそぢか。おほよそ子うみ給へりともなくて」
※今鏡(1170)二「僧はむそぢの数引き列なりて」

 

精選版 日本国語大辞典「ろくすん【六寸】」

〘名〙

① 一寸の六倍。約一八センチメートル。

※内裏式(833)五月六日観馬射式「騎レ馬度。先射二五寸的一。次六寸的。争二種種馬芸一」

② 江戸の遊里で、揚げ代が六百文である遊女の異称。

※洒落本・辰巳之園(1770)自序「六寸には新地入船石場三間堂を譬へて爰に楽む」

 

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kw:数値外の意味持つ数言葉、すうちがいのいみもつかずことば、すうちかいのいみもつかすことは

kw:数値以外の意味を持つ数言葉の表現、すうちいがいのいみをもつかずことばのひょうげん、すうちいかいのいみをもつかすことはのひようけん

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