[寒い(寒し) ]の語源説の考察
※イ音便により[寒い]の原型は[さむし]という前提で解説
[さむし(寒し)]そのものの語源の出典がないが、
[さむし(寂し)]の語源なら辞書に載っている。
そこで、
[さむし(寂し) ]を[さむし(寒し) ]に結びつけることができれば、
寒しの語源として整合性は取れるはずだ。
[さむし(寂し)]の語源 出典
”デジタル大辞泉”によれば
さぶし(寂し)→さむし(寂し)
と変わっていることがわかる。
さむしい-寂しい
(出典 デジタル大辞泉@小学館:https://daijisen.jp/digital/)
「さぶし」の音変化、[形][文]さむ・し[シク]《「さぶし」の音変化》さびしい。「たった一人で―・くって堪らないから」〈漱石・行人〉
【さむし】寂し・寒し 関係性を見出す
寒いにはみなさんが普段使っている[温度が低い]という意味の他に[貧しい・貧弱]という意味がある。
▼さむし(寒し)・さぶし(寂し) 比較
さむし(さむい)-寒し(寒い)
(学研全訳古語辞典:https://kobun.weblio.jp/)
①寒い。出典芭蕉庵文庫 俳諧「物言へば唇さむし秋の風―芭蕉」[訳] 物を言うために唇を開くと、秋風がその唇にしみて冷気を感ずる。
②貧しい。貧弱である。出典世間胸算用 浮世・西鶴「酒は飲みたし、身はさむし」[訳] 酒は飲みたいが、我が身は貧しい。
さむし-寂し
(出典 デジタル大辞泉@小学館:https://daijisen.jp/digital/)
①(あるべきものがないので)物足りない。活気がない。寂しい。②もの悲しい。ひっそり静かである。
▼さむし(寒し)・さぶし(寂し) 共通点 by ワゴン
・財政面で貧しく(寒し)物足りない(寂し)→厚着できず寒い
・活気がない(寂し)→人を含め動物は寒いと動きが少なくなる
・寂しいと弱々しくなったり震える→寒いから震える
↑
以上のことから、
[さむし(寂し) ]が[さむし(寒し) ]の語源に近いものと考えられる。
※断定・確証するものではない、例に漏れず、[寒い]の語源を断定してる記事には要注意!
「[温度が低い]意味と[貧しい・貧弱]意味、どちらが先か?
さむし(寒し)・さぶし(寂し) 共通点 by ワゴン
・財政面で貧しく(寒し)物足りない(寂し)→厚着できず寒い
・活気がない(寂し)→人を含め動物は寒いと動きが少なくなる
・寂しいと弱々しくなったり震える→寒いから震える
↑
先程の”さむし(寒し)・さぶし(寂し)”を見てみると
「[温度が低い]という意味よりも先に
[貧しい・貧弱]の意味があったのでは?」
と思わせる。
「貧しいがゆえの寒いだったのでは?」
という説をおいておく。
このように、考察していくと語源とは面白いものだ。
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おまけ:データで見る[寒い]”samui”
【ワゴン式和語表記】さむし(さむい)-寒し(寒い)-SaMuSi-SMS(SHS)
【表記】寒い・さむい・サムイ・samui・寒し・さむし・サムシ・samusi・samushi
【関連語】懐が寒い・暑さ寒さも彼岸まで