和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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【夏の語源】出典明記:(岩波古語辞典 7刷発行) 朝鮮語nyörɐm(夏)と同源【他:あつ(暑) 】

夏、語源、なつ、ナツ、natu

[夏(ナツ) ]の語源説

語源の出典があるもの:

朝鮮語の[nyörɐm]=夏の意味

 

語源として考察されている説:

・あつ(暑)=夏は暑い(気温が高い)

・なる(成る/生る)=夏は実がなる

朝鮮語の[nierym]=夏の意味

満州語の[niyengniyer]=春の意味

漢語 ねつ(熱)=夏は暑い(気温が高い)

 

同じ音属性から推測できる語源説:

・なづむ(なずむ)-泥む-NaDuMu-NDM(NTM/NTH)

・ねちねち-ネチネチ-NeTiNeTi-NTNT

なつ-夏-NaTu-NT=NT音

※(OJD)ネチネチされることは、むさ苦しく暑苦しさを感じることから[夏・暑さ]と無関係ではなさそうだ。

[夏(ナツ) ]の語源 出典

 

夏 語源の出典

(出典:岩波古語辞典 7刷発行)

朝鮮語nyörɐm(夏)と同源

 

岩波古語辞典にしっかり載っていた。

単純に岩波古語辞典は権威性もあるため、語源として1説を紹介するなら、出典があるものがよいだろう。

 

 

[夏]と”成る・あつ(熱)”の関わり

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・なる-成る-NaRu-NR

・あつ-熱-AaTu-AT、暑・熱

        ↑

「これらは夏と音の関係がなくないか?」

と思った方は次の説明を見ればわかるはず。

 


下2つは[Na u]が共通

・なつ-夏-NaTu-NT

・なる-成る-NaRu-NR

 

下2つは[ aTu]が共通

・なつ-夏-NaTu-NT

・あつ-熱-AaTu-AT、暑・熱

 

 

”夏(natsu)”語源 紐解き

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暑い夏としての語源:

朝鮮語の[nyörɐm]=夏の意味

・あつ(暑)

朝鮮語の[nierym]=夏の意味

満州語の[niyengniyer]=春の意味

漢語 ねつ(熱)

 

暑い夏としての語源:

・なる(成る/生る)

・なづむ(泥む)※なずむ(泥む)

        ↑

同じ語源説なのに

・[なる]が植物が育つ意味

・[泥む]は植物がしおれる意味

なずむ 意味(語源に関係しそうな意味を選び抜き)

(出典 デジタル大辞泉@小学館:https://daijisen.jp/digital/)

2 物事がはかばかしく進まないでいる。進むのに難渋する。とどこおる。「暮れ―・む空」「船が行き―・む」

4 悩み苦しむ。病む。「この君―・みて泣きむつかり」〈源・横笛〉

5 植物がしおれる。生気がなくなる。「色づける葉の―・みて立てるを見れば」〈かげろふ・中〉

 

 同じ言葉語源説なのに、まさか(真逆)の意味というのも面白い。

 

 

 

もっと知る ”夏”

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【表記】

・ナツ・なつ・natu・natsu

【ワゴン式和語表記】

・なつ-夏-NaTu-NT

【言葉カタ】

季語

【関連語】

飛んで火に入る夏の虫(とんでひにいるなつのむし)

光に向かう夏の虫は、火の光に飛び込んで焼け死ぬことから、自ら進んで危険な目にあう(注意:意識は危険な目にあう目的ではない)

 

 

は季節を表す大和言葉

季節は[春夏秋冬]に別れます。他の季節の記事も書いてるのでヒマがあれば見てってください。

の関連記事:

 

 

この記事は”夏”の語源に関わるものを銀河一マトメた記事だからこそ断定はしない

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この記事ではいろんな言葉がに関わる言葉というのを示した。

そこで考えるべきことは、語源をどれか一つに断定することは”ナンセンス”ということだ。

結局の所

・語源はどちらが先かわからない

・語源とは明かすことが難しい

・double meaning の可能性もある※B

        ↑

これらを頭に入れ、[語源判明が難しいもの・完全に明かされていないもの]を説明するとき気をつけるべきことは

 

断定した書き方をしないこと

 

その[断定]情報操作になってしまうからだ。

そういうサイトがYahoo記事になってると心配になる。

また出典とか書いていない断定したサイトの記事を引用して、それが一人歩きしている語源もある。しっかりと語源解説サイトは正しいか確認すべきだ。

※B:ダブル ミーニング(double meaning)

2つ以上の解釈が可能な意味づけのこと。 詩などで、一つの語に2つ以上の意味をもたせること。