和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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ナく(鳴く)🗣️。ネ(音)と同語源の「ナ」それを動詞化して「ナク」。【日本語・語源・ク動詞・参考 日国大辞典・鸣・嗁・😭泣・啼・哭】

▼語源・由来

 音を表す"ナ"が動詞化することで「ナク(鳴く)※」が生まれました。
※及び「泣く・啼く・哭く」。

精選版 日本国語大辞典 「なく【泣・鳴・啼・哭】」
[1] 〘自カ五(四)〙 (「ね(音)」と同語源の「な」が動詞化したもの) 生物が種々の刺激によって声を発する。
① (鳴・啼) 鳥、獣、虫などが声を出す。
古事記(712)上・歌謡「青山に 鵼(ぬえ)は那伎(ナキ)ぬ さ野つ鳥 雉(きぎし)は響む 庭つ鳥 鶏(かけ)は那久(ナク) うれたくも 那久(ナク)なる鳥か」
②〜(後略)

▼ネ(音)と同語源の「ナ」について

 精選版 日本国語大辞典の語源説明の中で、ネ(音)と同語源の「ナ」が出てきますが、その「ナ」自体を見出しとしては作られていません。

・Ne(ネ-音)
  ↑↓
・Na(ナ-音)

 上のように、発音の違いとして、同じ語であった可能性もあります。ということで、「音(ね)」の意味に注目してみましょう。

▽みんなも「音(ね)」を使っている

・音色(ねいろ)
・弱音(よわね)
・本音(ホンね)
・声音(こわね)
   ↑
 これらのコトバは、目にしたことがあったり、使ったこともあると思います。
 実はみなさんも「音(ね)」を使っているのです。

※以下の表記は、複数の読み方が辞書にある。読みによって意味も異なることが多い。
・音色(ねいろ・オンショク)
・声音(こわね・セイオン)
・弱音(よわね・ジャクオン)
※声音の読みに、辞書上では「こわおと・こえおと」がない。

▽その他の「音(ね)」

・空音(そらね)
・遠音(とおね)
・鞆音(ともね)
・共音(ともね)
・音取り(ねとり)
・初音(ハツね)
   ↑
 このあたりは、聞き馴染みが無かったり、見たこともないような「音(ね)」もあると思います。



出典:デジタル大辞泉小学館
そら‐ね【空音】 1 実際には鳴っていないのに聞こえるような気がする音。また、鳴らそうとしないのに、たまたま鳴ってしまう楽器の音。
「風が吹きつけたり、小僧の手が障ったりして、—を出す事があります」〈漱石吾輩は猫である
2 いつわりの言葉。うそ。「—を吐く」
3 鳥などの鳴き声をまねて出す声。なきまね。「夜をこめて鳥の—ははかるとも世に逢坂の関は許さじ」〈枕・一三六〉

とお‐ね〔とほ‐〕【遠音】 遠くの方から、また、遠くまで聞こえる音。とおと。「—に響く夕べの鐘」

とも‐ね【共音】一緒に声を立てること。一緒に泣くこと。また、その声。「人々—に泣きぬ」〈鴎外訳・即興詩人〉

とも‐ね【鞆音】弓を射たとき、弦が鞆(とも)に触れて鳴る音。「心ある射手の舎人のけしきかな玉しく庭に—響きて」〈夫木・一〉

はつ‐ね【初音】 鳥や虫の、その年、その季節の最初の鳴き声。特に、鶯 (うぐいす) の鳴き声にいう。《季 春》「うぐひすの身を逆 (さかさま) に—かな/其角」

ね‐とり【音取】 1 音楽を演奏する前に、楽器の音調を試みるための、短い一種の序奏。神楽・雅楽能楽などで、多くは笛を主に行われる。
雅楽で、管弦合奏の始めに作法として行う一種の序奏。楽器の音調を整え、雰囲気を醸成する。

▽「Ne(ネ-音)」そのものの意味

 さきほどは、熟語に含まれる「ネ」を紹介しましたが、
😐「そろそろ『ネ』そのもの意味を知りたいんだけど…」
 と思った人も多いでしょう。では、精選版 日本国語大辞典での意味をまとめてみます。

【 「ネ【音・哭】」意味】
・泣くこと
・物の音や人の声
・虫,鳥,獣,人などが鳴く声

   ↑
 ネ(音)は、音や声やその動作・涙を流してナクことを表すということになります。

 「鳴く・泣く・啼く・哭く」などの意味と 近い意味が含まれていますね。
 これならば、ネに近いナが、ナクの語源というのが納得できたのではないでしょうか。


精選版 日本国語大辞典 「ね【音・哭】」
〘名〙
① 泣くこと。→ねし泣く・ねに泣く・ねのみ泣く・ねを泣く。
② 物の音や人の声。また、ひびき。ねいろ。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「君達の、もののねかき合せつつおはしまさんは、故郷は思ほしかけてんや」
③ 虫、鳥、獣などが鳴く声。
古事記(712)下・歌謡「天飛ぶ 鳥も使そ 鶴(たづ)が泥(ネ)の 聞こえむ時は 我が名問はさね」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「いとどしく虫のねしげきあさぢふに露おきそふる雲のうへ人」
④ 人の泣く声。
※源氏(1001‐14頃)松風「変らじと契りしことをたのみにて松のひびきにねをそへしかな」

▼比喩的な意味・転じた意味 の「ナク」

 精選版 日本国語大辞典における意味③〜⑦は、声を出す・涙を流すという意味を直接表さない比喩的な意味・転じた意味になっています。

【直接的でないナクの意味】
・愚痴をこぼす。
・悔みごとを言う。
・相手の無理を仕方なく承知する。
・損を覚悟で値引きする。
・泣くようなひどいめにあう。
・辛酸をなめる。
・不当に評価されて不満足に思う。
(染料用語)染料が隣接した模様。
(染料用語)染料が模様外の白地に浸み出る。
(麻雀用語)他の人の捨牌をポン、カンする。
(麻雀用語)左隣の上家の捨牌をチーする。

精選版 日本国語大辞典 「なく【泣・鳴・啼・哭】」
(前略)〜
③ 愚痴をこぼす。悔みごとを言う。
※新撰大阪詞大全(1841)「なくとは、じゅっくゎいいふこと」
④ 相手の無理を仕方なく承知する。また、損を覚悟で値引きする。
⑤ 泣くようなひどいめにあう。辛酸をなめる。
※鉛筆ぐらし(1951)〈扇谷正造〉特オチ物語「自分がスクープした時には、よその社のだれかが、泣いていることを知っているからだ」
⑥ 不当に評価されて不満足に思う。「看板が泣く」
⑦ 染色で、染料が隣接した模様または模様外の白地に浸み出る。
⑧ マージャンで、他の人の捨牌を(ポン)、槓(カン)する。または、左隣の上家(シャンチャ)の捨牌を吃(チー)する。
[2] 〘他カ下二〙 泣かせる。泣かす。→吾(あ)を哭(ね)し泣く

▽比喩的な意味・転じた意味が多いのは

 ナクというコトバが、様々な意味に転じて、幅広い使い方がされています。
 これは、それほど身近なコトバだからということです。

 比喩的な用法は、「なにかに例える」ということですが、例えるならば「身近なもの・聞き馴染みのあるもの」に例えるほうが、伝わりやすいです。
 そもそも、例えという物自体が、相手にとってわかりやすい何かに例えるということが 多いですからね。

▼オマケ「ナク(鳴く)と同じ動詞化の例」

▽ク動詞

 辞書の説明には動詞化としてか書かれていないので、「ク動詞」という単語自体が使われていません。
 これは和語の里が使っている呼び名で、動詞化した際に「ク(カ行)」がつくことによって動詞化したものは、「ク動詞化」と呼んでいます。
※他、後ろに何がついて動詞化するかによって「〇動詞」と呼び方を変える。

▽ク動詞の例

 日本語は圧倒的にル動詞が多いです。
※事故る・ミスる・駄弁る・茶漬る・disる など。

 和語の里の現時点の調査では、ク動詞の例は3件しかありませんし、うち1件は濁音化したグ動詞です。
【枕く(まくらく)】枕+く
【枷ぐ(かせぐ)】枷+ぐ
【鳴く(なく)】ナ(音)+く
※マクラクの意味=枕とする。
※カセグ=動きを妨げる・支えとめる・防ぐ。

【記事編集用Link】
https://blog.hatena.ne.jp/peaceheart/onbin.hateblo.jp/edit?entry=6801883189066584123

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