和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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【1漢字化】画数を比較【連語】

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こんにちは♪

 

うけたまわる(受賜る) → 承る

かえりみる(返り見る) → 省みる

 このように、「元々2つ以上だった言葉」を「1つの漢字で表している」ものが あります。その まとめ記事になります。

 

 

 

▼1漢字化

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こういった、「神鳴り→雷(かみなり) / 先駆け→魁(さきがけ)」などを、和語の里では「1漢字化」と 呼び表しています。  

 


神鳴り=神+鳴り

        ↑

 こういうものは、2つ以上の言葉が合わさった[連語]です。それが、「表記の変化・時代の移り変わり・人々の使い方」などにより、[ 1つの単語 ] として扱われるようになります。

 

【神鳴り】連語扱いされやすい

【   雷   】単語扱いされやすい

※ただし、連語っぽいものが単語扱いされてたり明確な区別・定義はついていません。

 

 

▼1漢字化で画数が半分以下・10画以上減るもの

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[表記]→[1漢字化した表記(ふりがな) ]、

[もとの画数]→[1漢字化した表記での画数]

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鞆絵→巴(ともえ)、26→4

祭り事→政(まつりごと)、21→8

神鳴り→雷(かみなり)、26→13

受け賜る→承る、28→10

受賜→承る、23→10

絵書く→描く(えがく)23→13

奥深い→窈い(おくぶかい)、25→12

落ち入る→陥る、22→12

落とし入れる→陥れる、25→15

このリストの1漢字化された表記は、ほとんど一般的になっています。

唯一 [奥深い→窈い(おくぶかい) ]に関しては[窈い]のみ一般化していません。

[奥深い]から13画も減っているのに[窈]の漢字が使われにくいのは、

おそらく[窈]に似た[窃]が[窃盗]という悪い意味で用いられるからだと推測できる。 

 

 

 

 

 

▼1漢字化で画数が減るもの(1~9画減る表記)

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稲妻→電(いなずま)、22→13

嘘吹く→嘯く(うそぶく)22→16

思計る→慮る(おもんぱかる)、20→17

返り見る→省みる、19→14

鼻向け→餞(はなむけ)、23→17

水海→湖(みずうみ)、14→12

 

道引く→導く(みちびく)、18→16 

木綱→絆(きづな)、18→11

心良い→快い(こころよい)、13→9

心指す→志す(こころざす)、16→10

先駆け→魁(さきがけ)、23→14

差挟む→挿む(さしはさむ)、23→14

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差し招く→麾く(さしまねく)、20→16

突食む→啄む(ついばむ)、22→15

酒菜→魚(さかな)、24→11

菜瓮→鍋(なべ)、23→17

このリストの1漢字化された表記は、ほとんど一般的になっています。

[麾く・挿む]は一般化していません。

さすがの特殊な表記好きなドヤりたい日本人でも

[麾]という複雑な漢字を好む日本人はいなかったのかもしれません。

[さしはさむ]を[挿む]も一般使ひ されてるとは言えません。

そのワケは[挿む]という字面を見たら[はさむ]と本能的に

読んでしまうからでしょう。

 

漢字の読みには

・自然,本能的に読める読み方

・本能的に読めない読み方

があります

 

 

▼「麾く」と 表記されにくいワケ

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 「差し招く(さしまねく)」 を 「麾く(さしまねく)」と 表記するというのは、あまり見ません…

 

おそらく推定される理由は

・[さしまねく] 自体が「使われる頻度が低い

・20→16 と 画数の減少が少ない

・[麾]は複雑な漢字

・[麾]は常用漢字表

 

 

 

▼[麾]は常用漢字表

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[麾]は「常用漢字表」ですが、そこから考えられることが2つあります。

A:[麾] は [常用漢字表]だから、「"麾"の表記を使わない人」が多い

B:「"麾"の表記を使わない人」が 多いから、[麾] は [常用漢字表]に設定された

これは調査中です。

↑過去記事

 

 

▼同じ画数 or 差が1画

 

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旋風→飃(つむじかぜ)、20→20

虫食む→蝕む(むしばむ)、19→19

大鳥→鳳(おおとり)、14→14

誰そ彼→黄昏(たそがれ)、21→20

己々(己己)→各(おのおの)、3(3)→6

 

画数が ほとんど 変わらない場合、

やはり特殊な表記好きの日本人は、

手間が同じなら特殊な表記にします。

 

唯一 [旋風]は[飃]と表記することは少ない、

これは[旋風]という表記が意味をそのまま表現しきれているからだと思います。

だからと言って[黄昏]という字面を[黄]と[昏]の両方の意味を知っていたとしても[たそがれ]の意味を連想はしにくいので、結局[飃]の漢字が複雑すぎるからに行き着きそうです。(やっぱり それかいw) 



▼複雑さが使われ方に影響するワケ

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印刷物において、「複雑ゆえに見えにくい漢字」は避けられます。

 

飃(つむじかぜ)は [印刷物] では読みにくい

 [PC画面・スマホ画面] でも読みにくい

        ↓

[書き手]から使われることが減る

        ↓

世間一般で「飃」の 見る頻度が減る

        ↓

認知度が減っていく

        ↓ 

[飃]の表記を使うことが減る

 

 

 


▼1漢字化で画数が増えるもの

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▽画数が増えるリスト

片向く→傾く、11→14 

区切る→劃る(くぎる)、10→16

心見る→試みる、13→18

爪突く→躓く(つまづく)、14→23

土降る→霾る(つちふる)、14→24

持て成す→饗す(もてなす)、21→25

見回る→邏る(みまわる)、15→25

▽日本人=面倒くさがり屋

 これらの1漢字化の情報から見えることとして、「日本人は面倒くさがり屋」ということです。ワケとしては、「1漢字化して画数が増える場合、1漢字化した表記は使われにくい」という結果が出ているからです。

 この1漢字化した表記の中で使われやすいのは[試・傾]という漢字です。画数が極端に多い訳ではないので、すこし増えるくらいだから[試・傾]の表記が使われているのでしょう。

 

 

 このように、漢字は様々な形で変化していっています。それに対応することも大事ですが、対応しきれないほど複雑に変化している状況です。

 ただ、 覚えるだけでなく「どう使うか」というのも大事になってきます。未来の日本語が複雑になって使いにくくなるのか、日本語を母国語として好きな国民が増えるかどうかは、今の時代の人達の手にかかっているかもしれません。

【20231023追記:修正前に、「邪」のもとを「横縞」と書いてしまいました。ヨコシマのシマは「そのような様子であることを示す」という意味で使う「しま」なので、「横しま」が正しいです。「横縞」と書いてしまい申し訳ありませんでした。】

 

 


【記事編集用Link】
https://blog.hatena.ne.jp/peaceheart/onbin.hateblo.jp/edit?entry=26006613609589871

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