こんにちワ
前書いた記事で[学校で習う語幹は”言葉の共通性を見いだしにくいもの”で 考えるべきは真語幹の部分]という記事を書きました。
今回は真語幹よりもさらに言葉の仲間を集めた類語幹について説明していきます。
【類語幹】
私が定義する言葉です。
[定義効果]=和語の類語を ひとまとめにできる
【類語幹テスト】
以下の3つの言葉を見て気づくことは ありませんか?
・わらふ-笑ふ
・わる-割る
・はる-晴る
実は3語とも、[ 分かれる(広がる) ]という共通の意味を持ちます。さらに共通の音で構成されています。
[類語幹]同士の共通の意味[ 分かれる(広がる) ]
先程の3語の意味を並べます。
・わらふ-笑ふ
=A:笑う、B:(比喩的に)つぼみが開く。果実が熟してさける
・わる-割る
=自他動詞①割る。裂く。砕く。②分ける。分配する。③押し分ける。
・はる-晴る
=①晴れる。②憂いや悩みが解消する。心がはればれとする。③広々とする。④広く開ける。見晴らしがきく。
補足:[類語幹]よりもさらに幅広い[同じ音属性]もあり、
Wの[同じ音属性]をまとめたら共通性がいくつか見える。
[類語幹]同士の共通の音[わらふ・わる・はる]
「意味の共通性はわかったけど、音は共通してるか?ワシにさっぱりだよ。」
そんなことを思っている人もいると思いますので、わかりやすいように先程の3語をワゴン式和語表記で表してみます。
・わらふ(わらう)-笑ふ(笑う)-WaRaHu-WRH(HRH)
・わる-割る-WaRu-WR(HR)
・はる-晴る-HaRu-HR(WR)
見えたか?気づいたか?これが類語幹だ
この3語の[類語幹]はHaR(WaR)です。
※HとWはともに[ IKOの関係 ]
”IKO”とは[行き来する音]の意味。[は]という音は[わ]に転じやすいというのは、普段から「わたしは」の発音を「わたしわ」で行っているみなさんなら理解しやすいはず。
つまり、[類語幹]という概念により、[分かれる]という意味の[WaR]の言葉をまとめることができます。
まとめ[語幹・真語幹・類語幹]
<”笑ふ(笑う)-WaRuHu”の場合>
・語幹=WaRa
・真語幹=WaRaH
・類語幹=WaR
[真語幹]は本記事のメインではないため詳しく知りたい場合は、前回の記事を見てください。
内容形態素ではなくて?
[真語幹]の定義と似た定義に形態素という言葉があるのですが、それの定義が人によってバラバラでした。例えば日本語教育系で定義される形態素の中には[真語幹]は見当たりません。
※参考:日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 分野別用語集(ヒューマンアカデミー)
日本語教育系以外ではどう定義されているかというと、形態素が日本の教育機関の人の目に留まる前は海外にしかなかった概念だったようで、ローマ字できちんと形態素を考えるネット記事を書いている人がいました。
他にも、wiktionaryに[真語幹]にあたる形態素の一つである"内容形態素(ないようけいたいそ)"が[真語幹]に近いものでしたが、出典が不明だったためネット記事を個人で書いてる人がwikiなどに書いたのかもしれません。
つまり、定義が人によってバラバラの言葉なので、[真語幹]という定義を作ってしまったほうがいいと考えました。また学校教育で似た性質の定義[語幹]を習うから、語幹から連想させやすい[真語幹]というネーミングは大事です。
割る 意味
(学研全訳古語辞典:https://kobun.weblio.jp/)
自動詞
①割れる。裂ける。砕ける。壊れる。
②分かれる。離れ離れになる。
③思い乱れる。他動詞
①割る。裂く。砕く。壊す。
②分ける。分配する。
③押し分ける。かき分ける。
笑ふ(笑う)・咲ふ(咲う) 意味
(学研全訳古語辞典:https://kobun.weblio.jp/)
A:笑う
B:〔比喩(ひゆ)的に〕つぼみが開く。果実が熟してさける
はる-晴る 意味
(学研全訳古語辞典:https://kobun.weblio.jp/)
自動詞
①晴れる。
②憂いや悩みが解消する。心がはればれとする。
③広々とする。
④広く開ける。見晴らしがきく。