▼「冗談(じょうだん)」の由来説
精選版 日本国語大辞典によれば、冗談の語源説・由来説は…
・常談(雑談のこと)
・
などがあります。
▼「じょうだん」の漢字表記さまざま
※日=精選版 日本国語大辞典での「じょうだん」は見出しの漢字表記。
・冗談 ※日
・戯談 ※日
・串戯 ※日
・常談 ※由
・笑談 ※由
・串談 ※献
・戯言 ※献
・雑談 ※献
・冗戯 ※献
・悪戯 ※献
・謔語 ※献
・冗弁 ※献
・剰談 ※献
・戯語 ※献
・誣告 ※献
・調戯 ※献
※由=語源説・由来説。
※献=各文献などで用いられているもの。
文献などの情報はページ下部にまとめています。
「Yahoo!リアルタイム検索30日分@20230201」の調査では
冗談だよ・・14,475件
ジョーダンだよ_132件
じょうだんだよ_131件
じょーだんだよ_109件
ジョウダンだよ・31件
という順番でした。
※出典:表記ブレの調査 さ行「し」。
▼いまは「冗談」が一般的、定着したのは大正時代?
スマホ・PCなどで「じょうだん」を変換した際に第一変換候補に出るので「冗談」という表記です。
これが定着したのは大正時代以降らしく、それ以前は定まっていなかったため、表記が多いのでしょう。
出典:精選版 日本国語大辞典の語誌(3)
>>「冗談」に定着したのは大正時代以後のことと見られる。
▼「冗」の字は実は適さない?
「だん」の部分が「談」であることが多いです。
「話すこと」に関わることなので「談」の字が使われるのはわかります。
では「じょう」の部分を「冗」の漢字にするのは適しているか考えてみましょう。
【冗 漢字の意味】
・無駄
・不必要
・わずらわしいこと
などがあります。
これらの意味と、冗談は近い意味ではありますね。
冗談の意味にある「余計なことを言うこと」の意味と「冗」は合う気がします。
しかし、ジョウダンの意味には「ふざけて言う話・たわむれの話」という意味もあります。
その「おふざけ」の要素で見た場合、「冗談」という表記はイマイチだなあと考えています。
▽「冗」には「ジョウダン」の大きな要素が抜けている
「冗」と「ジョウダン」は近い意味があるというを説明しました。
しかし、ジョウダンというコトバの重要な要素「ふざけて言う話・たわむれの話」というのが漢字「冗」にはありません。
「ジョウダン」を使う人の考えは「おふざけ感」として使っている人が多いハズです。
「不必要」とか「無駄」かと聞かれれば、確かにそうですが、それは、機械的な冷徹で感情のない考えです。
「おふざけ」をするのは意味のあることです。
・場を和ませる
・笑わせる
・親しみを表す
そういった効果があります。これを「不必要・無駄」という意味を持つ漢字「冗」で表すのは不自然さがあります。
▽語源が「無駄なコトを話す」ならば「冗談」で問題ない
確かに、現在使われている「おふざけ」の意味合いと「冗」の漢字は適さないと感じます。
しかし、語源としては「余計なことを言う」が「ふざけて言う話」に転じた可能性があります。※
語源を漢字にしていると考えれば「冗」の漢字を使うのは問題ないと考えれます。
▼資料・データ
▽辞書データ
デジタル大辞泉「じょう【冗】[漢字項目]」
[常用漢字] [音]ジョウ(漢)
1 よけいな。むだ。余分。「冗員・冗談・冗費」
2 むだが多く締まりがない。くだくだしい。「冗長・冗漫/煩冗」精選版 日本国語大辞典「じょう‐だん【冗談・戯談・串戯】」
〘名〙
① (形動) 余計なことを言うこと。また、そのさま。むだぐち。むだばなし。
※虎明本狂言・鞍馬参(室町末‐近世初)「でうだんな事、かしましういふまい」
② ふざけて言う話。たわむれの話。常談。
※洒落本・魂胆惣勘定(1754)中「すべてやくたひのなきじゃうだんをこのむ国風なり」
③ (━する)(形動) ふざけること。たわむれること。また、そのさま。いたずら。冗談事。
※狂言記・荷文(1700)「そちがつねづねじゃうだんする故じゃ。ちとたしなめ」
④ (━する) むだばなしをして時間をつぶすこと。さぼること。
※浮世草子・世間手代気質(1730)三「道寄りして隙入れ遅ふ戻ると〈略〉どこに串戯(ジャウダン)してをったと、睨め付らるる」
[語誌](1)狂言など中世・近世の仮名書きの例については、どのような漢字を当てるのが適切か必ずしも明らかでない。①は雑談の意味の「常談」に近いが、②③は「しょうだん(笑談)」に意味が近く、これが俗語で「ジョウダン」と濁音化したものか。
(2)これら語形・意味の類似している語が影響を与えあう中で、明治時代には「戯談」「戯言」「串戯」等が当てられており、異表記は計十数種類に及んだ。
(3)「冗談」に定着したのは大正時代以後のことと見られる。
https://kotobank.jp/word/%E5%86%97%E8%AB%87%E3%83%BB%E6%88%AF%E8%AB%87%E3%83%BB%E4%B8%B2%E6%88%AF-2050287精選版 日本国語大辞典「じょう【冗】」
〘名〙 むだ。不必要。また、わずらわしいこと。くだくだしいこと。
※廃藩置県の詔‐明治四年(1871)七月一四日「是れ務て冗を去り簡に就き」 〔杜牧‐上斐侍郎書〕デジタル大辞泉「じょう【冗】[漢字項目]」
[常用漢字] [音]ジョウ(漢)
1 よけいな。むだ。余分。「冗員・冗談・冗費」
2 むだが多く締まりがない。くだくだしい。「冗長・冗漫/煩冗」
▽ふりがな文庫で見つけた表記
https://furigana.info/r/%E3%81%98%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%A0%E3%82%93
こちらの「ふりがな文庫」のURLで、「じょうだん」の他表記を探した結果。
この涼しさに元気づいて、半分は冗戯だが@出典:草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)主人の中川も気の毒になり「大原君、串談だよ。気にかけ給うな〜 @出典:食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
戯言とまじめと工合よく取り交ぜて人を話に引き入れる。@出典:隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
雑談だ。雑談を真に受ける奴が、あるものか。@出典:死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
※以下、「じょうだん」の漢字部分のみ
悪戯 @出典:いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
謔語 @出典:家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
冗弁 @出典:判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
剰談 @出典:散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
戯語 @出典:藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
誣告 @出典:竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
調戯 @出典:鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
【記事編集用Link】
https://blog.hatena.ne.jp/peaceheart/onbin.hateblo.jp/edit?entry=4207112889958786456
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