こんにちは。
3/25にKindle本「カタカナ日本語辞典」を出版したのですが、その際に「縦書き」で出版してみました。というものの、やはり世間では「縦書きが読みやすい」という認識が強いというのがあるからです。※特に言語系ならなおさら。
この記事は、縦書きでKindle出版をする方法を、体験談として残しておこうと思い、作りました。 大前提として、以下のような環境での作成方法なので、それがイヤという方には向きません。
【この記事での作成の環境】
・「でんでんマークダウン」を 用いる。
・スマホではなくPCでつくる。
※本文を作るだけならスマホで作ってもいいですが、最終的に「txt」形式のファイルにしたり、電子書籍用の記号をたくさん入力していったり、サイトで変換したりなどはPCでないとできないと思います。多分。
▼「縦書き用」につくる
「最終的なゴール地点」を、体験したほうが「完成までの道」の絵が膨らむと思うので、縦書きで出力するところを先に説明します。ものは試しで、数行のtxtファイルを用意しておいて、縦書きの電子書籍を出力してみましょう。
▽縦書き電子書籍ファイルをお試しで作る
「でんでんコンバーター」のページに行きます。
↓
画面左の「ファイル選択」から、「txtファイル」を アップロード。
↓
「情報を入れてね」の「タイトル」を 入力。
※〝test〟とかでもよい。
↓
「ページ送り方向」のチェックボタンを
「右から左 縦書き」に入れる
↓
下に移動して「変換」クリック
↓
電子書籍用のファイル出力
↓
「電子書籍リーダー※」でチェック
縦書きになってればOK!
※「電子書籍リーダー」とは、「Kindle Previewer 3」などを指します。
※こちらのサイト「Android版Google PlayブックスでEPUBを読む方法」では「Google play books」でチェックできるようですが、私の「カタカナ日本語辞典」で試したところ、本の表紙がアプリ内に表示されますが、それをタップしたら変換がはじまり、変換エラーと出てチェックできませんでした。
▼「縦書き用」の入力環境
基本的にPCの入力環境は、使ってくうちに「縦書きに向かない入力環境」になっていきます。というのも「横書きに合う変換」を繰り返したり、そもそも設定自体を「横書き向け」、または「縦書きに不向き」の設定にするからです。
▽縦書きに向かない入力環境
私の場合は、普段 横書きで書いてるわけですから、「縦書き時を考慮せず」書いています。その結果、「半角の英数字」が多くなるのですが、「半角の英数字」は縦書きにおいて〝90度回転〟されて表示されてしまいます。
私の入力環境の設定、つまりIMEの設定は…
英数字〝A・23・d・9〟などをキーボードで入力した場合、〝必ず半角で入力されるように設定〟しています。
同じような環境の方もいると思います。入力のたびに毎回「F9」を押したり、変換を押して変換候補から全角を探すのも手間です。 そして、完成後に全角にするのが面倒なので、「入力段階で全角になるように設定」しておくべきでしょう。
▽あとになって「全角」にするときの注意点
私は、「作成途中で半角だと表示がおかしい」ということに気付いたため、最後に「全角に一括変換」しました。
しかし、「全角に一括変換」は、「全角にすべきでないものまで一括変換してしまう」という危険があります。現に私もそうなりました。
【全角NGなもの】
・URL
・HTMLコード
・Markdown記法
・でんでんマークダウンの記法
・長い単語
↑
これらは「半角全角の区別アリ」なので、使い分けます。
・半角時=システム的な影響を与える
・全角時=通常の文字として出力
でんでんマークダウンで作る以上、「でんでんマークダウンの記法」は、必ず含まれていますし、これは起こりうる話です。
【全角にすべきでないものを全角にしてしまう例】
「あれ? 縦書きで電子書籍化したら〈a←半角〉が、90度回転してる。」
↓
「そうか! 縦書きの場合、全角にしなければいけないのか!」
↓
「よし! 〈a←半角〉を一括で、〈a←全角〉に変換だ!」
↓
「できたぞ! ちゃんと〈a←全角〉になってるぞ!
あれ? URLを見てみると、『https://blog.hatena.ne.jp/』が『https://blog.hatena.ne.jp/』になってる!」
※リンクとして成り立たない。
↓
結局、この部分を手動で〈a←半角〉に戻すことになる。
やはり、一括変換に頼るよりも、はじめから全角入力の設定にしておくのが縦書きを作る上で、のちのちラクになると言えるでしょう。
▼全角ダブルクォーテーション「“ ”」が縦書きで使えない
今までの、縦書きにする説明では基本的に 「システム面以外は全角にすればOK」みたいな書き方でしたが、「全角でもうまく表示されない文字」というものがありました。それは「ダブルクォーテーション=“ ”」です。
半角でもよく使う「ダブルクォーテーション」ですが、「""←半角」「“ ”←全角」どちらを使っても、おかしな表示になります。
※作成ソフト・電子書籍リーダーなど環境によって変わりそうですが少なくとも安定はしないと思います。
【以下を入力して、でんでんマークダウンの縦書きで出力してみる。】
###全角ダブルクォーテーション
「囲った場合、“表示”はこうなる。」
###半角ダブルクォーテーション
「囲った場合、"表示"はこうなる」
【出力結果。画像】
↑
どうでしょう? みなさんが思っていた出力結果と違うのではないでしょうか?
▼代わりは「ダブルミニュート」
参考:第8回 クォーテーションマークを縦組み用に切り替える:すぐに仕事に役に立つ InDesign速効Tips|gihyo.jp … 技術評論社
まず、はじめて耳にした人も多いであろう「ダブルミニュート」が、どんな見た目の記号化をお見せします。
「ダブルミニュート」=
〝〟
↑
コレです。実際に囲ってみると、
〝このような見た目〟
になります。※横書きの場合。
「ダブルミニュート」は、縦書きだと、下のように表示されます。
原文:これが〝ダブルミュート〟で囲った状態。
別名・通称として
〝ノノカギ〟
〝爪括弧〟
〝チョンチョン〟など
▼「ダブルミニュート」変換で出ない
「だぶるみゅーと」「ののかぎ」「つめかっこ」を変換しても「〝〟 」が変換で出ません。私の環境(Google IME+Mac)では、「だぶるみゅーと」の変換で出ませんでした。はじめから「〝〟」に変換される環境がはじめから備わってるという人は少ないと思います。
▽解決策=ユーザー辞書・ローマ字テーブル
私の場合は「ユーザー辞書」に「〝〟 」ダブルミニュートを登録しました。縦書きでは、よく使うと考えられるので、「だぶるみゅーと→〝〟」という変換も登録するだけでなく、「一般的なカッコ→〝〟」という変換、「""→〝〟」という変換、「ダブルミニュート《double+minute》」の頭文字「dm」で変換できるようにしたりすると便利です。ローマ字テーブルでも「dm」で出力される既存の日本語はないため、「dm」に割り当てても特に困りません。
__【「〝〟 」に変換する入力の中で、ユーザー辞書登録にオススメのもの】__
・だぶるみゅーと
・「」()などの一般的なカッコ
・""のような似た記号
・「dm」のような、変換したい記号の頭文字
▼「縦書き」の 場合、「扉ページ」が 無性に欲しくなる
「扉ページ」とは、全ページの中から、見出しの開始部分に「表紙」のように挿入されたページのことです。でんでんマークダウン自体に「扉ページ挿入機能ナシ」となっています。しかし、でんでんマークダウンはHTMLをそのままブッ込めるため、カンタンに入れられました。
【私が使った扉ページのコード】
===
<div style="writing-mode: vertical-rl;position:absolute;top:50%;left:50%;display:inline;transform:translate(-50%, -50%);">
<p>私家版 カタカナ日本語辞典</p>
<p style="text-align: right;">和語の里</p>
</div>
===
でんでんマークダウンで改ページを行う必要があるため、「===」と上下の「空行」は、必須です。
いかがでしたか?
「でんでんマークダウン」や、他の方法で横書き出版はしたことがあったけど、縦書きに踏み切れなかった人は、ぜひ挑戦してみてください。
【Promotion】カタカナ日本語辞典
▼他のKindle関係の参考リンク
Kindle出版のテスト方法 | 定年起業のためのウェブコンサルティング
「プレビューツール」で確認。
Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)から、
KDP対応フォーマットの問題点(字下げ・中央揃え・改ページのエラー)
【KDP】キンドルで簡単に電子出版する方法『でんでんコンバーターの使い方』
【key word】
kindle きんどる キンドル kindoru kinndoru
Kindke