和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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【え】六重(-え) 、読み方は「むつえ or むえ」?【漢数字+重(え) 一覧】

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【前回の記事】

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 前回の記事で、

1「一重(ひとえ)」・2「二重(ふたえ)」・3「三重(みえ)」・5「五重(いつえ)」・7「七重(ななえ)」・8「八重(やえ)」・9「九重(ここのえ)」

 は、辞書に載っているのに【4「四重(-え)」・6「六重(-え)」】は 載っていないということを書きました。※見出しとして。

 

 今回の記事は「六重(-え)」は どう読まれているかを調査する記事です。

「むつえ」なのか「むえ」なのか?

 

 

▼法則性で見たら、「むつえ or むえ」どちら?

・1「一重(ひとえ)」・2「二重(ふたえ)」・3「三重(みえ)」・5「五重(いつえ)

・7「七重(ななえ)」・8「八重(やえ)」・9「九重(ここのえ)

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 一般的な辞書に載っている「漢数字+重(え)」です。辞書には「六重(むえ・むつえ)」がありません。

 その中で、辞書に載っている1235789から、読みを全体の規則的に考えると、「六重」は「むえ」と読むのが妥当になります。全体的に、「漢数字の訓読み」なので。

 ただし、六重の直前に「五重(いつえ)」があるのがクセモノで、この「五重(いつえ)」に引っ張られて、「六重(むつえ)」と読む人がいても不思議はないという感じです。

 また、「五重(いつえ)」抜きに考えても、「六重」を「むつえ」と読んでしまう理由に「響きのよさ」があります。「むつえ」という響き自体は耳さわり良きものなので、使いたい人や無意識にそう読んでしまう人もいると思います。

 「6つ重ね」の意味を持たせて、「むつえ」と言い表したい場合の表記として、「六つ重(むつえ)」と表記する方法もあります。

 「六つ重」と表記すれば「むつえ」と読むことは自然であるし、常用漢字表内に則った表記・読みになります。

 

 

▼使用例・使用数を見ていく

 次に、規則ではなく、実際に世の中はどう読んでいるのか調べてみました。

【注意】そもそも「六重」自体が使われにくい言葉なので、絶対的な参考数が少ないです。

 

Google検索の件数

Google検索の方法】

・"六重むえ"で検索→「六重むつえ」「六重(むつえ)」が検索される。

・"六重むつえ"で検索→「六重むつえ」「六重(むつえ)」が検索される。

Googleの検索結果の最終ページを確認→不自然に多い件数を省いた件数を確認できる。

 

20220211

"六重むえ"・約 21 件

"六重むつえ"約 10 件

 この結果から、「むつえ < むえ」という結果になりました。他にも様々な検索を試しているので、その結果を知りたい場合は「表記ブレの調査【ま行「む」】」のLinkに飛んでください。

 

▽地域名として使われている「六重(むえ)」

 「島根県雲南市三刀屋町六重」という地名がありますが、Navitime上でのルビフリはしまねけんうんなんしみとやちょうむえ」となっています。

参照:https://www.navitime.co.jp/address/32209087000/%E5%B3%B6%E6%A0%B9%E7%9C%8C%E9%9B%B2%E5%8D%97%E5%B8%82%E4%B8%89%E5%88%80%E5%B1%8B%E7%94%BA%E5%85%AD%E9%87%8D/

 「Navitime」の読みが正しいよみかどうかはわかりませんので、😤「違うよ"ろくじゅう"だよ」「違うよ"むつえ"だよ」ということがあれば、コメントお願いします。

 

▽花火の「〇〇重芯」

【「むつえ」 六重芯(むつえしん)】

https://twitter.com/uchaume/status/1162731494994919424

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 「芯入り」という花火の種類の呼び方として、「八重芯(やえしん)、三重芯(みえしん)、四重芯(よえしん)、五重芯(ごえしん)」があり、それらは花火関係の記事で目にすることがあります。

 しかし、「六重芯」は見かけませんでした。ところが、「六重芯」に挑戦した人がいるようなツイートを見かけました。そのツイート主は「むつえしん」とルビフリをしています。

 ただし、「公益社団法人 日本煙火協会」などの、公式的な団体からの、読みの解説はありません。

 

 

 

▼まとめ

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【規則的かどうか】

六重(むえ)」=規則的である

六重(むつえ)」=規則的ではない

 

【表記で区別したい】

六重(むえ)」=常用漢字表内読み

六つ重(むつえ)」=常用漢字表内読み

 

【実際にある地域名】

六重(むえ)」=島根県に実在※

六重(むつえ)」=ナシ(確認した限り)

※「Navitime」の読みを参考にしましたが、「Navitime」の読みが間違っている可能性もあります。

 

 

▼おわりに

 この記事のように、「一重」が「ひとえ」で、「二重」が「ふたえ」なら、その次以降はどうなるのだろう? こういった疑問を持つ人は多いはずです。

 しかし、「四重」「六重」に関しては、規範となる読み・言葉としての情報がありません。

 こういった、連続的な関係性を持つコトバについては、国語の授業などでまとめた表などで教えるべきだと思います。※教師への文句ではなく、教育団体の指針についての指摘です。

 なぜかというと、花火の「五重芯」が「ごえしん」読みされることがありますが、これは 明らかに不自然な読みです。小学校で「五重(いつえ)」というコトバを学べば、こんな読みをされることはないはずだからです。

 そして、こういった不自然な読みというのは、現代だとインフルエンサーなどによって、早く広まってしまいます

 もちろん、「読み方というのは自然発生で変な読み方も生まれる」というのはあります。ただ、「五重芯(ごえしん)」はな〜。

※結局、「五重芯(ごえしん)」への文句かよ。

 

 

 

 

▼オマケ:Q and A

【「五重(いつえ)」も 本来は「五重(いえ)」で、「(い)(え)」に「つ」が加わったのでは?】

 そういった疑問もあるかと思いますが、「五」の訓読みには「い・いつ」どちらもあります。「五重(いつえ)」読みは、訓読み通りの読み方となります。

※「(いつ)」→「(い)」と変化したとされています。

参照:精選版 日本国語大辞典

 

【「六」の訓読みには「むつ」はないの?】

 はい、ありません。「六」の訓読みには「む・むゆ・むう」のみです。

参照:精選版 日本国語大辞典

 

 

kw:

kw:かずことば、かすことは、かづことば、かつことは、kazukotoba、kadukotoba、数言葉、かづ言葉、カズコトバ、カヅコトバ

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