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「にせのつま」という言葉が辞書に載っている【偽の妻? いえいえ「二世の妻・二世の夫」】

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 辞書には、たまに「何だこれ?」と目に留まる言葉があります。今回、そう感じた言葉は、

「にせのつま」

 です。

 

 非漢字表記・音だけを聞いたら、

偽の妻(にせのつま)

 と連想するでしょうが、辞書に載っているのは…

二世の妻(にせのつま)

 です。

 

▼「二世の妻」ってなに?

 まず、辞書上の説明を見てみましょう。

出典:デジタル大辞泉小学館) 
にせ‐の‐つま【二世の▽夫/二世の妻】 の解説
来世まで連れ添おうと約束した夫または妻。「われこそ清十郎が―」〈浄・歌念仏〉

 

 ちなみに、「二世(ニセ)」のみの意味は下の通り。

・現世と来世

・今生 (こんじょう) と後生 (ごしょう) 

・この世とあの世。

※出典:デジタル大辞泉「にせ【二世】」

 

▽「偽の妻」とは大違いの純愛コトバ

 「二世の夫/二世の妻」の意味は、「来世まで連れ添おうと約束した夫または妻」という意味で、恋愛感情の表現でありそうな表現ですね。「来世でも〜」みたいな恋愛ソングの歌詞もありそうです。

 純愛とか強い恋愛感情のコトバであり、同音異義語の「偽の妻」という不純な愛情とは大違いの表現ですね。

 

▽似たコトバもある

 辞書には、「ふうふはにせ【夫婦二世】」という項目もあります。このコトバは、「夫婦の縁はこの世ばかりでなく来世までもつながるということ※」という意味であり、「にせのふうふ」と似た意味です。

 同じく、「にせのちぎり【二世の契り】」「にせのやくそく【二世の約束】」という項目もあります。意味は、どちらも「来世までも夫婦として連れ添おうという約束。夫婦の約束。二世の語らい。二世の約束。※」であり、こちらも「にせのふうふ」と似た意味です。

※参照:精選版 日本国語大辞典

 他にも「二世の頼み=夫婦として来世で会うという願望。」なども似た意味を含んでいます。

 

 

 

▼「二世の妻・二世の夫」は現実的に使えるか?

▽「二世」を「にせ」と読む習慣がない

 「二世」という表記を見て、「にせい」と読む場面が多すぎる反面、「二世」を「にせ」と読む場面は少ないです。

 

【二世(にせい)】

二世議員(にせいぎいん)

・二世タレント(にせいたれんと)

・二世作家(にせいさっか)

・二世社長(にせいしゃちょう)

など

 

 

【二世(にせ)】

・げんとうにせ【現当二世】=現在世と当来世の二つの世。この世とあの世。現当両益(げんとうりょうやく)の意にも用いる。現当。現未。

・にせあんらく【二世安楽】=現世の安穏と来世の極楽往生。現世と来世に安楽を得ること。

・にせ【二世】=前世・現世・来世の三世のうち現世と来世。今生と後生。この世とあの世。現在と未来。現当。※ほか意味

        ↑

 【現当二世】・【二世安楽】・【二世】のいずれも仏語(仏教用語)。

※意味参照:精選版 日本国語大辞典

 

 見てわかるとおり、ニュースや会話の話題で出てきそうな【二世(にせい)】コトバに対して、【二世(にせ)】コトバは、宗教系に通ずる人やその手の行事でしか耳にしません。

 つまり、「二世の妻(にせのつま)」というコトバを使おうとしても、「二世」を「にせ」と読む習慣のない9割以上の日本人からしたら、

🤔「ニセの妻?」

🤔「えっ、偽装結婚してんの?」

🤔「じゃあ、本物の妻は誰?」

 みたいに思われることでしょう。

 

 

▼おわりに

 日本語は、

・同字異音異義語

・同字同音異義語

・同音異字

 などが多すぎる言語です。

 

 あの時代は使用頻度が高いため通じていたとしても、使用頻度が低くなったときに、コトバとしてイメージしにくくなります。

 安直な 

・同字異音異義語

・同字同音異義語

・同音異字

 となるコトバをつくらないようにしないと、将来的に日本語は今よりも「意味不明な言語」になると思います。

 

 この記事は、ネタとして「にせのつま」を紹介する記事ですが、日本語の造語の注意喚起の記事でもあります。

 

▼オマケ:特例「二世の固め」

・二世の妻

・二世の夫

・夫婦二世

・二世の契り

・二世の約束

・二世の頼み

        ↑

 これらは、いずれも来世が意味に絡むコトバです。しかし、「二世の固め」という言葉を辞書※で引くと、「夫婦の契りをかためること・約束」という説明しかなく、「来世」が絡んできません。

※精選版 日本国語大辞典デジタル大辞泉

 

 これは、「二世の固め」という文字そのものからの意味ではなく、既存の「二世(ニセ)」コトバから、夫婦になる約束という意味合いだけを引き継いだ言葉ということでしょうか?

 少し違和感があるというか、出典の文献が少なくて、その文献での用法のみを意味に入れるのではなく、「来世」に関わる意味も入れたほうがいいのではないかと思っています。

 

 

 

 

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同音語とは - コトバンク

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同綴異義語 - Wikipedia

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