辞書で「
「漁師の娘」
「遊女」
と説明されていました。
デジタル大辞泉「あま‐の‐こ【海=人の子】」
1 漁師の娘。
「漁あさりする―どもと人は言へど見るに知らえぬ良人うまひとの子と」〈万・八五三〉
2 《船上で世を過ごすところから》遊女。
「白浪の寄するなぎさに世を過ぐす―なれば宿も定めず」〈和漢朗詠・下〉
しかし、ここで疑問が浮かびました。
「漁師の娘」
↑
これは どう解釈したらいいのか?
▼「〇〇の娘」の解釈
▽「漁師の娘」の解釈
2つの解釈ができます。
【A】漁師という職業につく若い女の子
【B】漁師をしている人の子供(性別♀)
「漁師の娘」
に限りませんが、
・職業名
・助詞「の」
・親族関係
この3つが組み合わさったときにややこしくなります。
※職業名+助詞「の」+親族関係
▽「職人の娘」も解釈次第
同じく
「職人の娘」
これも 2つの解釈ができます。
【A】職人である若い女の子
【B】職業が職人である人の子供(性別♀)
▼辞書でいう どの意味が使われているか
デジタル大辞泉「の[格助・終助・間助・並助・準体助]」から、考えてみましょう。コトバンク※https://kotobank.jp/word/%E3%81%AE-596099
「職人の娘」=【A】職人である若い女の子
この【A】解釈の助詞「の」は、辞書で言うところの㋑や㋗などで考えるとわかりやすいと思います。
㋑所属。…に属する。…のうちの。「財務省の事務次官」
「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲―いづこに月やどるらむ」〈古今・夏〉
ちなみに、【A】解釈で伝える場合の 助詞「の」は「な」の役割に近いです。
ただし、現状 日本語において「職人の娘」でなく「職人な娘」と書くのは、一般的でもないし規範となる書き方ではありません。
しかし、「職人な娘」という字面から 【A】解釈を想像しやすい人もいるはずです。
実は、日本語には一般的に使われない表現でありつつも、その表現を用いたら分かりやすくなる表現というものがあります。
「職人の娘」=【B】職業が職人である人の子供(性別♀)
この【B】解釈の助詞「の」は、辞書で言うところの㋐㋕㋖などで考えるとわかりやすいと思います。
1 連体修飾格として諸種の関係を表す。
㋐所有。…の持つ。…のものである。「会社の寮」
「後徳大寺大臣おとど―寝殿」〈徒然・一〇〉
㋕作者・行為者。…の作った。…のした。「校長の話」
「行成大納言かうぜいのだいなごん―額」〈徒然・二五〉
㋖関係・資格。…にあたる。…としての。「友達の田中君」
「妻め―女」〈竹取〉
まあ、【㋕作者・行為者。…の作った。…のした。】に関しては、倫理観的に見たら表現として使われにくいですが、「つくる」というよりは「生み出した」で考えていただければ いいと思います。
▼他の辞書での「海女の子」
🤔「最初の例に出した"海女の子"の解釈は 結局 どっち?」
という話ですが…
他の辞書で、解釈が分かれないように書かれていました。
精選版 日本国語大辞典「あま【海人】 の 子(こ)」
① 漁夫の子供。時に娘をいう。多くいやしい身分の者にいう。
※万葉(8C後)五・八五三「漁(あさ)りする阿末能古(アマノコ)どもと人はいへど見るに知らえぬ良人(うまひと)の子と」
② (船に住んで世をすごす意から) 遊女。あそびめ。うかれめ。
※和漢朗詠(1018頃)下「白浪のよするなぎさに世をすぐすあまのこなれば宿もさだめず〈海人詠〉」
①に「漁夫の子供」とあるので、【B】解釈の「職業が職人である人の子供(性別♀)」が精選版 日本国語大辞典での「あまのこ」です。
また、デジタル大辞泉とは異なり精選版 日本国語大辞典では、子供の性別が女(♀)に限定されていなく、「時に娘をいう」と説明されています。
辞書の見出し表記も「
▼おわりに
日本語、特に和語の難しさは こういった記事を書くたびに実感します。
世の中には、日本語の出来不出来を批判する人がいますが、これだけ難しい言語の出来不出来を批判される立場の人は苦しいと思います。
日本語の出来不出来で批判していいものは、わざとサギ商法などでダマすために、誤解を与えるように書いた厳密性のない不出来な文章などではないかと考えています。
kw:
kw:どうじどうおんいぎご、ドウジドウオンイギゴ、doujidouonnigigo、douzidouonnigigo、doujidoonnigigo、douzidouonigigo、dojidoonnigigo、dozidoonnigigo、同時同音異義語、同字同音異議語
kw:どうじどうおんいぎ、ドウジドウオンイギ、doujidouonnigi、douzidouonnigi、doujidoonnigi、douzidouonigi 、dojidoonnigi、dozidoonnigi、同時同音異義、同字同音異議
kw:どうじいぎ、ドウジイギ、doujiigi、douziigi、dojiigi、doziigi、同時異義、同字異議、同字異議
kw:どうおんいぎご、ドウオンイギゴ、douonnigigo、douonnigigo、doonnigigo、douonigigo、同音異義語、同音異議語
kw:どうおんいじご、ドウオンイジゴ、douonnijigo、douonnizigo、doonnizigo、douonizigo、同音異字語、同音異字語
kw:どうおんいじ、ドウオンイジ、douonniji、douonnizi、doonnizi、douonizi、同音異字、同音異字
同音語とは - コトバンク
kw:どうおんご、ドウオンゴ、douonngo、douongo、doonngo、doongo、同音語、同オンゴ
同綴異義語 - Wikipedia
同綴異義語、どうてついぎご、ドウテツイギゴ、doutetuigigo、dotetuigigo
同綴同音異義語、どうてつどうおんいぎご、ドウテツドウオンイギゴ、doutetudouonnigigo、dotetudouonnigigo、doutetudouonigigo、dotetudouonigigo
同綴同音異義、どうてつどうおんいぎ、ドウテツドウオンイギ、doutetudouonnigi、dotetudouonnigi、doutetudouonigi、dotetudouonigi、同鉄同音異義、ど鉄道鬼斬
同綴異音異義語、どうてついおんいぎご、ドウテツイオンイギゴ、doutetuionnigigo、dotetuionnigigo、doutetuionigigo、dotetuionigigo
同形異義語、どうけいいぎご、ドウケイイギゴ、doukeiigigo、dokeiigiogo、同系意義語
homograph、ほもgらph、ほもぐらふ、ホモグラフ、homogurahu、ほもぐりふ、ホモグリフ、homogurihu
同じ字で違う意味、おなじじでちがういみ、オナジジデチガウイミ、onajijidetigauimi