「片時片時(かたときへんじ)」とは、「ほんの少しの間・ほんのしばらくの間」の意味を持つコトバです。
※Aの意味は精選版 日本国語大辞典。Bの意味は出典:デジタル大辞泉(小学館)。「かたときへんじ」は主流の読みであり、他の読み方もあり。
この「片時片時」を【畳語】として扱うべきかどうかを考える記事です。
「時(とき)+時(とき)」で「時時・時々(ときどき)」のように生まれた語を「畳語(ジョウゴ)」などと呼びます。
「時」の訓読み「とき」
+
「時」の訓読み「とき」
↓
「時時(ときとき)」
↓
連濁して「ときどき」
▼片時片時を畳語と言いにくいワケ
「片時」の訓読み「かたとき」
+
「片時」の音読み「へんじ」
↓
「片時片時(かたときへんじ)」
このようにして「片時片時」が生まれたと仮定すると、「かたとき」「へんじ」という2種類の語という見方ができます。
しかし、畳語の条件である「形態素・単語・語根のどれかで見た場合に同一のものが重なっている」という条件には当てはまっていないと判断できます。
※畳語の条件について。
※「カタトキ(片時)」と「ヘンジ(片時)」は、形態素としても別物・単語としても別物・語根としても別物と見なすのが和語の里の見解です。
※和語のカタトキ・漢語のヘンジという別言語。語根・形態素は、同一言語において考えるのが基本なので、今回の記事では語根・形態素で見た場合は別物と考える。
▽なぜ、同一の単語ではないのか
カタトキ(片時)」と「ヘンジ(片時)」は なぜ、同一の単語ではないのかという話をします。
ここで大事になってくるのは、「同じ意味が含まれていたり・同一の意味だからといって、単語として同一視はすべきでない」という見方です。
たしかに、「カタトキ(片時)」と「ヘンジ(片時)」の意味を調べると、ほとんど同じ意味が含まれています※。あくまでも同一なのは意味です。
たとえば、
・苦笑(クショウ)↔苦笑い(にがわらい)
・根本(コンポン)↔根本(ねもと)
・大きい↔デカイ
などは、意味として見れば、類似している・同一の意味を含む単語同士ですが、両者を「同一の単語」とは扱いませんよね。
▼もとの意識としては畳語
😅「いやいや、さっきまで 畳語じゃないって言ってなかった?」
👨「そうですよ、"片時片時(かたときへんじ)"自体は畳語ではないという判断をしています。」
😅「うん? じゃあ"もとの意識としては畳語"って?」
👨「造語の過程においての意識のことですね。」
😅「う〜ん… わかりにくいから教えて。」
▽造語の過程
精選版 日本国語大辞典に書かれている"片時片時(かたときへんじ)"の由来部分は以下のとおりです。
>>「かたとき」に、「片時」を音読した「へんじ」を重ねて意味を強めた語。
ここで造語の過程を考えやすくするために、流れを書いてみます。
【「片時片時(かたときへんじ)」が生まれた流れ】
➀「片時」の訓読み「かたとき(片時)」、それを強めるために「かたとき(片時)」を加えようとする(この時点では思考であり、話したり書いたりしてないものとする)。
②同じ音で加えるだけでなく訓読みから音読みに変えて「へんじ」と読ませ、"片時片時(かたときへんじ)"とする。
音の響きを考えたり奇をてらったりしたのか何かしらの理由で、後ろ側を「ヘンジ」読みにしたというのが造語の流れですが…
造語の過程➀のときには、「片時片時(かたときかたとき)」になりそうな思考がありましたので、【もとの意識としては畳語】という判断をしました。
▼おわりに「畳語の条件が変わるかも?」
この「片時片時(カタトキヘンジ)」が、現時点の畳語の条件には当てはまりません。
しかし、世の中の定義を調整したり決めたりする学者さんが、「片時片時(カタトキヘンジ)」をどうしても畳語扱いしたいと考えた場合は、条件が追加されるかもしれませんね。
jougojoukenn
辞書や百科事典はどう説明している?
畳語について、「何を重ねたものを指すのか」を調べてみました。
まとめると、「形態素・単語・語根」のどれかで見た場合に同一であれば、畳語であると判断していいと思います。
これらを踏まえて、考えた場合、「同一」とみなす判定を考える必要があります。
▼dic
https://kotobank.jp/word/%E7%95%B3%E8%AA%9E-79143#w-2003362
日本大百科全書(ニッポニカ) 「畳語 じょうご」
同一の形態素を重ねて用いた形式の複合語。
デジタル大辞泉 「じょう‐ご〔デフ‐〕【畳語】」
同じ単語または語根を重ねて一語とした複合語。
精選版 日本国語大辞典 「じょう‐ご デフ‥【畳語】」
〘名〙 同一の単語を重ねて一語とした複合語。
精選版 日本国語大辞典 「かたときへんじ【片時片時】」
〘名〙 (「かたとき」に、「片時」を音読した「へんじ」を重ねて意味を強めた語。「かたときへんし」とも) ほんの少しの間。
※御伽草子・常盤の姥(類従所収)(1504‐21頃)「かいもちひこそいづれより、片時へむしも忘られね」デジタル大辞泉 「かたとき‐へんじ【片時片時】」
《「かたときへんし」とも》「かたとき」を強めていう語。ほんのしばらくの間。「片時片時も怠ることなかれ」デジタル大辞泉 「しゅん‐じ【瞬時】」
またたく間ま。ほんのわずかな時間。瞬間。
katatokitohennji
【カタトキ】
一時(ひととき)の半分・わずかの間・ちょっとの間・ほんのしばらくの間。【ヘンジ】
すこしの間・ちょっとの間・しばし・わずかな時間・かたとき。
※参考・出典:精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉(小学館)
カタトキとヘンジの意味を比較すると、明確にここが違うという部分はなく、どちらも「わずかな時間」を表す意味が集まっています。
カタトキのみ「一時(ひととき)の半分」という意味が書かれていることについて、これは ほとんど「わずかの間」と同義と考えてもよいと判断したので、この意味があるからといって、カタトキとヘンジが意味上は別物とは言えないという判断をしました。※詳しくは
hitotokinohannbunn
【一時(ひととき)】
・しばらくの間
・ほんのわずかの間
・瞬時
【一時(ひととき)の半分】
・しばらくの間を半分にした間
・ほんのわずかの間を半分にした間
・瞬時を半分にした間
半分にしたところで、結局「瞬時」と「瞬時を半分にした間」なんて、人間が知覚できるような間ではありません。
そもそも瞬時自体が、同時の次くらいの時間的な近さとして人間が意識レベルだと思います。
そのため、「一時(ひととき)の半分」という意味が片方にあろうが、もう片方と意味上は変わらないという判断をしました。
【意味上ってなによ?】
>>意味上は変わらないという判断をしました。
こう書きましたが、意味上は 気持ちとか響きを抜かしたものと考えてください。
つまり、意味上では両者が同じだとしても、 気持ちとか響きで見た場合は両者に違いがあるという話です。
【記事編集用Link】
https://blog.hatena.ne.jp/peaceheart/onbin.hateblo.jp/edit?entry=6801883189074831800
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私家版【畳語辞典(ジョウゴジテン)】
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