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【学校教育法】4月2日生まれ=次の学年【誕生日・学年・年齢は別次元】

【公式出典明示】4月2日生まれ=次の学年

4月2日生まれ、次の学年、早生まれ、誕生日



このナゾについて、日付を用いて説明している記事が見つからなかったのでマトメ画像を作成しました。画像を見てもらえればわかりますが”誕生日・学年・年齢”は別べつで考えなければいけません

 

小学校などの学年の覚え方は、

「(ある年の)4月2日生まれから、翌年の4月1日生まれまでが同じ学年」

とされています。「4月2日生まれから」というのが 何だかキモチワルいという意見を耳にします。調べてみると、法律上そうせざるを得ないナゾが隠されていました。

 

 

そもそも学年とは?

学校で定めた一年間の修学期。普通、四月から翌年三月まで。

 ということになっています。具体的日付でいうと、

「4/1〜3/31」になります。

小学校令施行規則(抄)(明治三十三年八月二十一日文部省令第十四号)

https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318017.htm

第二節 学年、休業日及式日  第二十五条

小学校ノ学年ハ四月一日ニ始リ翌年三月三十一日ニ終ル

 

 

いつ?何歳で学校に通うの?

○学校教育法 - 第十七条 Link
(一部引用・中略:http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000944.html)
満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、
満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで〜小学部に就学させる義務を負う。

注目したいのが

満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、

の部分です。

 

満六歳に達した日の翌日以後

[満六歳に達した日の翌日以後]とは何でしょうか?

これは文面で軽く流し見してると理解不能ですので、分解して考えなければいけません。

 

<分解して考える>

満六歳に達した日:法律上6歳になる日※1

満六歳に達した日の翌日:法律上6歳になる日の次の日

満六歳に達した日の翌日以降:法律上6歳になる日の次の日以降

        ↑

分解することによって、[満六歳に達した日の翌日以降]の意味が分かりましたでしょうか?しかし、ここでも気をつけるべき言葉があります。それが[法律上6歳になる日]の部分です。

 

 

※1:満六歳に達した日 (法律上6歳になる日)

【問い】1999年4月2日うまれの人は、[法律上]では いつ6歳になるか?

【答え】2005年4月1日の24時

 

つまり、法律では[日付上は誕生日の前日]に年をとることになります。

 以上のことを踏まえて、さきほどの画像を改めて見ると、よくわかると思います。

f:id:peaceheart:20200108144834j:plain

 

 

24時って次の日じゃないのか?

「まてまて、24時ってもう次の日の4/2じゃないか!」

 私も同じ疑問を持ちましたw

 その通りなのですが、法律上は別の日になっているようです。

 

法律の原文を次に示しますが、実際に素人目で読んだだけではナゼ先程のような判定になるか分からないはずです。そこで法律文解説サイトなどで意味を確認すると、先程 申したように[日付上は誕生日の前日]に年をとることになります。日付自体は[年の増える日扱い]でも、前日の23時ではまだ年は増えません。

 

 

以下は法律の原文です。

年齢計算ニ関スル法律

明治三十五年法律第五十号
明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律
○1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
○2 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
○3 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス

 

 
民法 第百四十三条
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 

 

うるう年を考慮した法案?

なぜこんな面倒くさい年齢加算かというと、一説では閏年(うるうどし)を考慮した結果だとされています。うるう年2月29日が誕生日の人の年齢を加算する日をうるう年の2月29日にしてしまうと、年齢が加算されないことが起きてしまう。そのため閏年(uruudosi)に左右されない2月28日に年齢を重ねることを可能にするためではないかと言われています。

 

うるう年をめぐる法令

参議院法制局より 今年西暦2008年のカレンダーには2月29日があり、今年はうるう年に当たります〜

2月29日生まれの人〜西暦2009年2月28日限り(すなわち2月28日の24 時)をもって満1歳になります。

ただ、実際に誕生日を祝うのは、満1歳になった次の日、すなわちうるう年では2月29日、平年では(2月29日がないので)3月1日ということになるのでしょう。〜(小沼敦/「立法と調査」NO.278・2008年2月)

 

 

  

 

いかがでしたが、ものごとの定義って 「とても むずかしいもの」です。とくに法律関係の文はふだん使うような言葉の感覚で考えると、[法律上 意味合いが異なる]ということが起きてしまいます。

つまり、同じ日本語という枠組みでも別の言語と考えてもいいレベルです。これは法律だけではなく、ビジネス言葉と辞書の言葉が別物という自体になっています。

 

 

 

 

 

[オマケ] 仮に4/1生まれ・4/2生まれが同じ学年だったら

今の規定では4/2生まれから翌年の4/1生まれまでが1学年ですが、仮に4/1生まれ・4/2生まれが同じ学年だったら問題が起こるかどうかを考えます。

画像にまとめましたので御覧ください。

 

1999年生まれの4/1・4/2誕生日の2人とも2006年度に小学校に入学してしまうと

4月1日生まれと4月2日生まれが同じ学年だったら

 4/1の入学前に7歳になってしまいます。

 

<仮に1年繰り下げて>

 

1999年生まれの4/1・4/2誕生日の2人とも2005年度に小学校に入学する(学年に属する)と、
 
4/2誕生日の人が6歳になるのは4/1の24時なので、
6歳になる前に、入学する(学年に属する)ことになってしまう。