和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

やまとことば・和語・日本語に関する情報をデータ化・日本語の問題点解説。語彙力・難読漢字クイズなどによる教養アオリの否定など。

「転寝」について語る誤用クリエイター「ごろね=x、うたたね=o」と書いてしまう。【日本語を乱す者・失クリ】

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 上に貼っている画像は、Google検索で「辞書」などのコトバをマイナス検索に設定した上で"転寝"を検索したときの結果です。
 上位に表示されている記事があるサイトは「Ray」という女性向けのサイトです。

 ここで、問題視しているのは漢字の読みについてのウソの情報が「Ray」で発信されていたことです。
※Rayが修正をしていないのであれば現在も誤ったまま。


▼「Ray」が「転寝(ごろね)」読みを間違い扱いする。

 まず、kotobank.jp/word/転寝-440173のリンクから、コトバンクの「転寝」のページを調べると…


・うたたね
・ごろね
・ころびね
・まろびね
 などの読みが出てきます。

 このような読みがあるということを頭に入れた上で、Rayの記事に書かれていたことを見てみましょう。

URL:https://ray-web.jp/121437
タイトル:「転寝」の読み方はなに?眠気に勝てないとしてしまうあの行動!
果たして、正解は?
「ごろね」と読みたくなってしまいますが、正解は「うたたね」でした!

※20220703確認済み。上のURLがリンク切れ・記事内容が修正される場合もあるので、アーカイブを残しています。「https://web.archive.org/web/20220629030013/https://ray-web.jp/121437」からどうぞ!

 おかしいですね。

 「ごろね」読みを間違い扱いしています。
 コトバンクの「転寝」のページでは「転寝」で「ごろね」読みで見出しが つくらているのに、「ごろね」が間違いというのはおかしい。

 直接的に間違いと言っていなくとも、正解には「うたたね」しか入れていません。
 これだけの情報では、「<うたたね>以外の読みは間違いです。」と言っているようなものです。

▼「Ray」について

【「Ray」の説明】
・女の子向けのサイト
・年中 カワイイ自分になることを叶える
 そんなサイトのようです。

【参考】https://ray-web.jp/about
365日、もっと可愛いワタシになる 『Ray web』は、そんな女の子の願いを叶える 毎日更新のWEBサイト。

▽「Ray」は小さい企業や個人ブログでもなかった!?

 こういったウソの記事を載せているのは、個人ブログとか小さい企業かと思ったのですが、そうではありませんでした。
 「Ray(レイ)」の運営会社は「株式会社DONUTS※」という会社です。
サイト内のPRIVACY POLICYより

 この「株式会社DONUTS」は、ライブ配信サービスの中では ある程度 有名な「ミクチャ(旧名称:MixChannel)」を運営しているようです
 ほかにも「https://www.donuts.ne.jp/games/」にて「DONUTS GAMES」と称して、複数のゲームを運営・開発しているようです。
※20220629確認時点。

 見た限り、結構大きな会社でwikipediaにも、スポーツチームのパートナーなどの情報が書かれていました。

 そんな、しっかりしていそうな会社なのに、「間違っていないものを間違っている!」と ウソの記事を書いてしまっているのが 今の日本語の言語環境です。

▼おわりに

 スポーツチームのパートナーやってたり、ライブ配信サービスやってる会社ですが、 企業が大きくなると「漢字の記事」を書きたがる傾向にあります。
 その理由は単純で、漢字の記事は恐怖心アオリをしやすいからです。

大衆は漢字の読み書きに恐怖心を持っている
   ↓
雑な漢字の記事をつくる
   ↓
PVを稼げる

 「漢字の記事」というのは、さまざまなジャンルのサイトの記事として使えます。
 女向けサイトであれば、「できるビジネスウーマンは漢字の読み書きが〜」と、それっぽい理由をつけて記事をつくり、サイト内に載せる企業が多いです。

 こういった日本語の言語環境がキケンであるというのを みなさんには 知っていただきたいです。



※これ以降は、日本語に深く関心のある人以外には面白くないかもしれません。

▼「ごろね」よりも「うたたね」のほうが当て字の性質を持つ

 「転寝」の2字を辞書で調べると
「うたたね」
「ごろね」
「ころびね」
「まろびね」
 などが出てきます。

▽「転寝」の「ころびね」読み

 この中で、「ころびね」は、助詞をつけた場合、納得がいく読みになります。
 「転寝」→「転び寝」

 「転ぶ(ころぶ)」の読みと漢字は、小学三年生で習うものとされているようで、常用漢字表外でもなく、普通に読める読みです。参照「https://joyokanji.info/year.html?js=3」。

▽「転寝」の「ごろね」読み

 「転寝」を「ごろね」と読むのは、語源的に見ると「ころぶ・ごろごろ」の「ころ・ごろ」は清濁の違いのみで、互いに関係している可能性があると考えれます。
 「転寝(ころね)」→「転寝(ごろね)」という変化だとしたら、当て字ではなく音変化の類いであり、「ころびね」読み同様に、当て字ではないと言えます。

▽「転寝」の「まろびね」読み

 「転寝」を「まろびね」と読むのは、そういう字を当てるのが一般的だったというよりは、辞書が便宜上「転寝」の字を当てているだけかもしれません。
 人情本・英対暖語(1838)初の表記では「目顔をしのびまろびねの〜」と ひらがな表記です。

▽「転寝」の「うたたね」読み

 実は1305年の雑談集 九「徒衆転(ウタタ)多ければ〜」のように「転」を「うたた」と読む使い方がされています。
 1305年の文で、それが正当化されてい入れば当て字っぽく感じませんね。
 ただし、現代において常用漢字表外読みである「転=うたた」読みは、あえてするものではなく、「うたた」は ひらがな表記のほうが親切でしょう。
 また、歴史的なことを知らない人からしたら当て字にしか見えませんのでオススメできません。

▼「うたたね」の当て字「仮寝」「一二三」

 850年ごろとされる大智度論平安初期点 二六では「転々(ウタタ)」と使われています。「うたうた」というコトバがあるので、「うたうた→うたた」の変化と考えれば、当て字ではなく音変化の類いと考えられます。
 【こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)】や【中国怪奇小説集:15 池北偶談(清) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)】では「仮寝」表記。
 通俗古辞書『運歩色葉集』、『温故知新書』、『伊京集』、『易林本節用集』などでは「一二三」表記※Y!知恵袋参考につき未調査。「一二三」表記で「うたたね」読みは現代でも名字に見られるとか。
kotobank.jp/word/転寝-440173、furigana.info/w/仮寝:うたたね


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"死語を殺すな"、"殺して死語にしたのは死語と言った人"
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