▼「アド」「メアド」「アドレス」って何?
「
・あの子のアドGET!
・メアド教えて!
・このアドレスに送って!
▽「Address(アドレス)」とは?
「
※その他の「
▽Addressの略としての「アド」はいつ以降か?
「E-mail addressの略としてのアド」が、日本で使われるのは「E-mail address」が世界に誕生して日本に入ってきて以降というのが変えようのないことです。
wikipedia「History of email」や、ネット上の各サイトで説明されてるE-mailの歴史では、初のネット上のE-mail送信が「1960年代」。私達が普段使っている「@」付きのメールアドレスを使ったメールが送られたのは「1971年」とされています。
また、E-mail・Internetなどの機能を持つComputerが日本に普及したのは、「windows95」が発売してからです。そのため、「メアド・アド・アドレス」などのコトバが一般層の一部にも通じるようになったのは「1995年以降」の話です。
▼「アド」という略
▽1931年の「アド」は何?
上で述べたとおりであれば、「メールアドレス」を指して「アド」「メアド」「アドレス」と呼ぶのは、1971年以降でなければいけません。
しかし、1933年の文書に「アドレス」を略した「アド」というコトバが使われています。
※党生活者(1933)〈小林多喜二〉二「こんなに早く太田が私の家(アド)を吐かうなどとは」
ここでの「アド」は、家の場所・隠れ家などを指しての「アド」です。書き手が気に入っていたのか、または周囲で はやっていたのか。なんにせよ、面白い事例ですね。
▽「アドレナリン」なども「アド」と略されていた
windows95発売前(1995年より前)の文書で、「address(アドレス)」を略して「アド」とするという話をしましたが、他にも「adrenaline(アドレナリン)」「advertising(アドバタイジング) 」という言葉も「アド」と略す人もいるそうです。
出典:精選版 日本国語大辞典「アド」
[1] 〘語素〙 (ad advertising の略) 広告。〔外来語辞典(1914)〕
[2] 〘名〙
① 「アドレナリン」の略。
※アパアトの女たちと僕と(1928)〈龍胆寺雄〉七「アドもやっぱり這入(へえ)った方が効くなア」
② (「アドレス」の略) 住居、家、かくれがをいう。
※党生活者(1933)〈小林多喜二〉二「こんなに早く太田が私の家(アド)を吐かうなどとは」
用例の出典にあるとおり、茨城県出身の作家、サボテン研究家である「龍胆寺雄」も、日本のプロレタリア文学の代表的な小説家、共産主義者、社会主義者、政治運動家である「小林多喜二」も「アド」という略語を使っていました。
現代のイケイケなギャルも驚く「略語の先輩」「若者言葉の先輩」です。
※肩書きはwikipedia参照。
▽英語でも「アド~」を「アド」と略す
「adの意味・使い方・読み方|英辞郎 on the WEB」によると、adの使い方と意味で、略語として、英語でも使われていることがわかります。
・advertisement「広告」
・advantage「テニス用語のアドバンテージ」
※一般用語としての「advantage」は略すかどうか不明
・administrator「ネットワーク管理者」
↑
これらを「ad(アド)」と略すようです。
▼略語を見下すというのは過去の人々を見下すことにもなる
音が変わったり、(縮音含む)略されたりするコトバというのは、日本に腐るほどあります。和語の里では「読み変辞典風※」なる記事をつくっています。
そういった略語が今の日本語を構成しているのであり、今回紹介した「アド」もその類ひです。
※読み変辞典風では、ナマリにより音が変わった言葉をまとめている。
【例1】かねうち→かぬち→かんぢ→かぢ(鍛冶)
【例2】かがふる→こうぶる(かうぶる)→こうむる(被る)
▽多様される「です」もナマリによる縮音のようなもの
「日本語の言葉遣いを語ることで、商売する者たち」というものは、略語などを叩きがちです。「若者言葉」というコトバは否定的に用いられることが多いですよね。
しかし、略語というものは、読み変辞典風でも多数紹介しているとおり、日本語で一般的に公的に使われている言葉でも、略語であることが多いです。
例えば、「です」という言葉の語源について辞書にかかれているのは下のとおりです。
【ssn】でさうらふ→でさう→です
【ssn】でござります」→でござんす→であんす→でえす→です
【ddj】で候→です
【ddj】でおはす→です
【ddj】でございます→です
【ddj】であります→です
▽犯罪の上で成り立っている事業に加担して犯罪を叩く
上で述べたように、現代人の基礎の言葉である「です」ですら、音が変わって話されてきた言葉です。
略語を批判している人は、忌み嫌いする略語を用いて略語を批判するという状態です※。
犯罪に例えると…
犯罪の上で成り立っている事業に加担している著名人が犯罪NEWSを見聞きして叩くようなものです。
※結果的な話になりますが、「です」を「des」と見れば「desourou(で候)」の略語です。
▽許せる略語と許せない略語
ただ、変な略語を見て叩きたい気持ちになるのはわからなくもないです。
「まあ、許せる略語と許せない略語があるよね」
って話です。
ただし、
許せないなら許せないという理由付けをしっかりするべきです。
また、
仮に、許せなくても略語を用いる人に、略語禁止を言い渡すのは危険な考えです。
ここまで、書きましたが和語の里のメンバーですら、言葉・表現・当て字などを見て「それやめて!」って思うことが多いです。
多種多様な人が生きる世界で、言葉をどうすると使いやすくなるか、日々 考えています。
▼オマケ:英語の「address(アドレス)」は意味さまざま
研究社 新英和中辞典での「address」の意味には
・あいさつの言葉
・演説
・手ぎわのよさ
・求愛行為
・あて名
・住所
※参考:研究社 新英和中辞典「address」
など、さまざまな意味があります。
特に、「手ぎわのよさ」という意味は、日本人の身としては想像し難い意味ですね。
あいさつ・演説・求愛行為などは、「何かを伝える」という系統なので、なんとなく「あて名」の意味の「address」に通ずる気がします。
【記事編集用Link】
https://blog.hatena.ne.jp/peaceheart/onbin.hateblo.jp/edit?entry=13574176438052946938
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