由来:おいおい→申す申す→もしもし
- 由来:おいおい→申す申す→もしもし
- 【縮音】もうし→もし【変わる訳】
- もしもしが失礼ならビジネスでの言葉も略語だらけだが?
- 日本人は略語で生きている
- 「[もしもし] は[略語だから失礼]だ!」という資格があるのは
- [もしもし] をマナー違反とする人は根拠なしに日本語を身勝手に定めている
<A:呼びかけ【おいおい】>
明治23年12月16日電話交換業務が開始
【意味】
「おいおい」は古語からある言葉で[人に呼びかけるときに発する語]と説明されている。 (学研全訳古語辞典 参考)
【話し手の感情・意図】
聞こえますか?
【かへりごと】
応答は「ハイ、ヨゴザンス」に決定されていた。
【性差】
・女=おいおい
・男=おいおい
↓
<B:呼びかけ【もうしもうし(申し申し) 】>
[もうしもうし] に変わる
【意味】
・「言ふ」の丁寧語
・「言ふ」の謙譲語 (学研全訳古語辞典 参考)
【変えた訳】
・電話交換手(主に女性)にとって「おいおい」は乱暴な感じ
・アメリカの(当時の)電話挨拶「ハロー」を参考に[もうすもうす・もうしもうし]に変えた。
【性差】
・女=もうしもうし
・男=おいおい
※小ネタ:学研全訳古語辞典の[申す]の説明で『直接的で男性的な表現。公的で改まった感じの語。』とあるため、時代によっては[申す]でも女性は使いにくい言葉だった。
↓
<C:呼びかけ【もしもし 】略す>
明治35年以前[もしもし] に略される
【意味】
感動詞:人に呼びかける時に用いる語。もしもし。 (三省堂 大辞林 第三版 参考)
【略した訳】
・本能的効率化
【性差】
・女=もしもし
・男=おいおい
↓
<D:呼びかけ【もしもし 】統一>
明治35年[もしもし] に統一
【意味】
② 電話を通して最初に相手に呼びかける語。また、電話が通じていることを確認する時にもいう。 (精選版 日本国語大辞典[もしもし]より)
【性差】
・女=もしもし
・男=もしもし
(出典:加藤木家の由来>「もしもし」の誕生、http://www.katogi.com/history/shigenori/shigenori.htm)
1890年(明治23年)12月16日に東京の電話交換が始まった。それに先だって電話交換の交換実験が行われた際の説明書きには
『ここにおいて受容者は、聴音器を両耳にあて、器械の中央に突出する筒先を口にあて、まず「おいおい」 と呼びにて用意を問い合わせ「おいおい」の声を発して注意し、先方よりの承諾の挨拶あるを聴音器にて聞き取り、それより用談に入るなり』
とあるので、一番最初の問いかけの言葉は「おいおい」だった。
当時、電話を持っている人は高級官僚や実業家などの偉い人ばかりだったので、このような偉そうな挨拶になったのかも知れない。ちなみに一番最初の電話帳には「渋沢栄一・158番」「大隈重信・177番」などの名前が掲載されている。
この当時「おいおい」に対しての受け手の応答は「ハイ、ヨゴザンス」に決定されていた。 もしもしとは「申す申す」が変化して出来た言葉だが、当初は男は「おいおい」女は「もしもし」だったらしい。 「もしもし」に統一されたのは明治35年頃と言われている。
この「もしもし」を考案したのは、電話を日本で設置する際に 研修ということで、明治23年にアメリカに渡った加藤木重教だと云われている。その時、アメリカの電話では「ハロー/Hello」と言う言葉を使っていたが、この言葉を説明する日本語がどうも判らない。そこで、「もしもし」という言葉を必死に考え出したものが、現在まで続いている。
関連書籍:重教七十年の旅. 前編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1024464
参考:東京湾観光情報局.
https://tokyo-bay.biz/pref-kanagawa/city-yokohama/kn0465/
【縮音】もうし→もし【変わる訳】
※申す=感嘆詞の意味も持ち
[敬意をこめて呼びかける]時に使う
↓
呼びかけ=もしもし(意識としては”もうしもうし”で発音)
変更理由=人間の本能での縮音
↓
呼びかけ=もしもし(意識的に”もしもし”で発音)
変更理由=世間の中で[もしもし]発音を許容
【おいおい 意味】
(学研全訳古語辞典:https://kobun.weblio.jp/)
①はいはい。▽応答や承諾の意で発する語。
②おおいおおい。▽人に呼びかけるときに発する語。
③おいおい。▽泣き声を表す語。
◆「をいをい」とも表記する。
【”申す(もうす) ”の原型 ”申す(まうす)” 意味】
もしもしが失礼ならビジネスでの言葉も略語だらけだが?
【略ビジネス言葉を紹介】
D:いかがでしたか?
【略語】いかにか(如何にか)→いかが(如何)
【例】先日、お送りしました資料はいかがでしたか?
E:こんにちは
【略語】こんにちはご機嫌いかがですか?→こんにちは
※ [こんにちは]とは[今日(きょう)は・今のアナタは]という意味合い
F:さようなら
【略語】さようならば お別れですね→さようなら
※出典:洒落本・曾我糠袋(1788)
「『さやうなら、御きげんよふ』
(2)(二)の別れの挨拶の用法については、先ず「ごきげんよう」「のちほど」などの他の別れの表現と結びついた形で用いられ、次いで近世後期に独立した別れのことばとして一般化した。
G:メール
【略語】イーメール(E-Mial)→メール(Mail)
【例】先方からのメールを確認してください。
H:テレビ
【略語】テレビジョン セット(Television set)→テレビ(Televi)
【例】食堂のテレビの調子が悪いのでご確認いただけますか?
※他にも漢語表現で[テレビ受像機]という呼び方もある
I:東大
【例】新入社員の田中さんは東大をご卒業されたらしいです。
J:ブログ
【略語】[[ウェブログ]](Web log)→ブログ(Blog)
【例】弊社のブログをご確認いただければ最新情報が見れます。
K:リスケ
【略語】Reschedule-リスケジュール→リスケ
【例】予定していた商談ですが、先方の都合でリスケとなりました。
日本人は略語で生きている
日本人が略語を失礼扱いしないほうが良いワケ
・慣用化された略語は挨拶言葉となっている
・略さないと仕事が効率よく回らないことが多い
・睦まじくなると名前を略してアダ名をつけることが多い
↑
以上のことから
・何度も使う言葉は短く話さないと、掛け算形式で時間を奪われる。
・略語を批判する人間=時間泥棒
「[もしもし] は[略語だから失礼]だ!」という資格があるのは
「[もしもし] は[略語だから失礼]だ!」
という人は以下のことを満たさなければ説得力なし
・すべての言葉を略される前の言葉で言う
・原義以外の意味で使われている言葉も使わない
・旧仮名遣いで書き表す
↑
「なんで私がそんなにしなかやイケナイの?」
と思うなら、他人に[もしもし失礼論]を強いるべきではない。
[もしもし] をマナー違反とする人は根拠なしに日本語を身勝手に定めている
「もしもしはマナー違反」
と主張する人は、そこらへんにあるビジネス書から学んだりしたのだろう。
では、そのビジネス書のマナーは何を根拠に書いた?
だいたい、それより前に出たビジネス書を根拠にしてる。
ではそのビジネス書は?
・一部での風習
・企業毎のルール・仲間内でのルール
・ビジネス書の著者やマナー講師の独断
↑
で作られたマナーだ。これらは、その企業内・仕事仲間内でのルールだったのを公的ルールかのように広めているだけなのだ。
これは、恐ろしいことで、
ビジネス書を出す人や・ビジネスマナー講座を開いている人が
「あの言葉は気に食わない。(個人の感情)」
「世間的に失礼らしいよ。(根拠なし)」
「失礼だ、使うべきではない。(情報操作)」
↑
このように言ってしまえば、
それが真理かのように広まってしまうのだ。
これらのビジネス書が広めたマナーが広まってしまうと、公的機関も採用せざるを得なくなる。日本語に対して興味のないマナーヤクザが[日本語をマナーという名目で定義し、日本語を殺してくる]のは恐ろしいことだ。
今はなき[おにっちゃん]が攻撃的に書いた記事
今回の記事は↑をリメイクしたものです。一般受けを狙い感情を出さずに書きました。当チームとしては[おにっちゃん]の感情込めた書き方は好きですがww