和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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【火事】「ひのこと」→「かじ」【消えた和語】ひのこととは

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火事を昔の人は「ひのこと」と言った

[家が燃えたり・森が燃えたり]したとき、現代の日本人の99%以上はこう認識する。

[火事(kazi)が起きた]

と 

 

しかし、古来の日本人は[家・森 が燃えること]

[ひのこと]

と表現しました。

 

 

ヒノコト【火の事】 の解説

(出典 デジタル大辞泉@小学館:https://daijisen.jp/digital/)

火災。火事。 「宵うちすぎてののしる、―なりけり」〈かげろふ・下〉

 

 

 

<なぜ、「かじ」になった?>

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もちろん、[ひのこと・カジ]ともに意味は同じであり、言い換える必要はなかったのですが、なぜわざわざ〚かじ〛と言い換えたのか?

 

X:和語[ひのこと]という言葉があった

  ↓

Y:文字で[火事]と表記

  ↓

Z:訓読みだったのを音読みにした

「ひのこと」が「かじ」になった

 

 

ナゼ、音読み[かじ]に市民権を奪われた?

考えられる3つの理由

 

・A:漢語の音の方が短い

(4文字の[ひのこと]と2文字の[かじ] )

 

・B:漢語崇拝

( [かじ]の響きを当時の日本人はかっこいいと思った)

 

・C:2文字の漢字並びを本能的に音読みにしたがる

( [立会]の表記だと[りっかい]と音読みで読みがち、[たちあい]という読みを想定しにくい) 

 

 

 

A:漢語の音の方が短い

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これは理由としては非常にデカイ理由です。

・[ひのこと]=4音

・[かじ]=2音

一目瞭然です

 

 

・B:漢語崇拝で[かじ]をかっこいいと思った

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現代の日本人が英語をかっこよく思うのと

同じような感覚ですね。

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・C:2文字の漢字並びを本能的に音読みにしたがる

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[立ち会い]だったら[たちあい]と読みがちで

[りっちかいい]なんて読みませんよね。

 

[立会]のように漢字が連続して2文字並ぶと

[りっかい]と音読みで読みがち

 

日本語の読み方は昔から統制が取れていなかったのですね。

 

 

 

 

長いんだからしょうがないよね

「長いんだから使われず、漢語に乗っ取られるのは仕方ない。」という意見もあると思いますが、そんなことはなく和語は使う中で[長かった音が短くなる力]があります。

 

つまり、日本人は[ひのこと]短い言葉に進化する(変える)可能性があったのですが、2音の[カジ]を導入してしまったため”進化する可能性”を潰してしまったのです。

 

 

onbin.hateblo.jp

 

【おまけ】仮に[かじ]と読む習慣がなかったら

[火事-かじ]という言葉がない世界線妄想

 

[ひのこと]を使い続ける

  ↓

火災が多い期間などで使用頻度アップ

  ↓

いつも 4音の発音はダルい

  ↓

発音変化[ひんごと・ひごと]

※連濁・ナ行撥音便(ン)

※助詞削除で[ひごと]

  ↓

発音変化[ひんごっ・ひごっ]

※タ行促音便

  ↓

発音変化[ひんぐ・ひぐ]

  ↓

表記は[ひんぐ・ひぐ]だが発音は英語の

[ing・ig]のように軽い音になっていく

(Hinngu→Hing)

(Higu→Hig)