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【知ってた?】人数=にんず/にんずう/にんじゅ/ひとかず【5つの小で話題】

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こんにちは♪

5人以上の会食単純に苦手ヤマコです。

 

 

※今回は内容がマニアックなので、[小人数] についての 分かりやすい記事を読みたい方は下の記事をどうぞ↓

 

 

 

▼ [人数] の 4つの読み方

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[人数]の言葉を調べていたのですが…そもそも「人数」自体に4種類の読み方がありました"

【 "人数" 4つの読み方】

・にんずう

・にんじゅ

・にんず

・ひとかず

         ↑

上の4つの読み方を発見!

(デジタル大辞泉)

 

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うそ!知らなかった〜☆

 

安心してください。 普通の生活において、人数は[にんずう]と読んどけば、今の日本では困りません。

 

 

▼なぜ [にんず/にんじゅ/ひとかず] と読む?

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今の日本においては「にんず・にんじゅ」という読み方の方が不自然と感じます。

 

しかし、実は…

「数」すう(ずう)と 読む方が 漢字としては不自然だったのです。

 

 

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「数」を「すう(ずう)」と 読むは慣用音

 

【慣用音とは】

・本来の漢字の音ではない音読み

日本人がアレンジした音読み(または誤発音)

訓読み自体は、日本人が作った音

訓読み自体は慣用音ではありません。※1

※1何かを間違えたり変更したものではないためです。訓読みが慣用音として扱われるとしたら「当て字扱い」されるのかな? 

 

「数」の [本来の漢字音]

呉音 : シュ、ソク

漢音 : ス、サク

訓読み : かず、かぞ-える、けじめ

引用(check20201122):数 - ウィクショナリー日本語版

 

 

▼ 連濁で[にんず/にんじゅ]になった

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呉音にある[シュ]、漢音にある[ス]、これらと[ニン(人)] を 計算式のようにくっつけていくと

にん ]+[  ]=[ 人数にんす ]

にん ]+[ しゅ ]=[ 人数にんしゅ ]

 となります。

 

ここから連濁が起こり

人数にんす ]→[ 人数にんず ]

人数にんしゅ ]→[ 人数にんじゅ ]

となりました。

みなさんが無意識に使ってる人数にんずう ]も連濁です。

人数にんすう ]→[ 人数にんずう ]

 

ところで連濁って何?

という人もいるかもしれないので、次に説明します。

 

▼ 連濁とは?

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連濁とは:

[歌]と[声]を 単純にあわせたら 「うたこえ(歌声)」ですが、発音上「うたごえ(歌声)」になりやすく、無意識下で「歌声(うたごえ)」と読むこと。連濁で濁音化するのは[後ろの単語の頭部分]です。

 

また、連濁が定着 すると状況が変わります。

国・辞書が定めて、フリガナ表記も「うたこえ(歌声)」 から「うたごえ(歌声)」 と 変えます。国や辞書が言うのだから、それが一般的なルール上 正しくなることが多い※あくまでルール上であり、[言葉の本質・元]は連濁されてない形です。

 

 

▼ 方言と連濁は判別が難しい

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方言において、連濁は起こりやすい のですが…「連濁なのか単純に濁ってるだけなのか」判別は付きません

 

例えば、この秋田弁講座で紹介されている方言を例にします。

どで 【土手】、 はぢみづ 【蜂蜜】

出典:http://www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~ataru/private/akitaben.html

 

どて(土手)→どで(土手)

この変化は[単語の頭の部分が濁音化]してます。そのため、連濁のように見えます。

 

はちみつ(蜂蜜)→はぢみづ(蜂蜜)

この変化は[単語の頭の部分が濁音化]してません。濁音化してるのは単語の後ろ部分です。そのため定義上の連濁とは言い難いものです。

 

 

 

▼ [人数] を [にんずう] と読むのは2つの変化

 

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先程の説明を読んでいた方ならわかると思いますが、みなさんが普通に [人数] を [にんずう] と読み上げてますが…それは「読み方が変化」してます。

 

慣用音:す→すう

連濁:すう→ずう

 

▼ [にんず/にんじゅ/ひとかず] 意味は?

 

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人数にんじゅ人数にんず人数ひとかず

 ちなみに、この3つは辞書の解説では「にんずう-人数」と ほぼ同じ意味として扱われています。※1 (デジタル大辞泉)

 

※1:ただし、[ひとかず-人数] にあって、[にんずう-人数]にない意味もあります。逆に [にんずう-人数] にあって、[ひとかず-人数] にない意味もあります。

 

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[にんずう-人数] にしか書かれていない意味

2 多くの人。大勢。「人数を集める」

 

[ひとかず-人数] にしか書かれていない意味

 2 一人前の人として数えられること。

「人数に入らない」

 

 

 

 

▼ [人数] の辞書解説への提案

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にんずう・ひとかず」この2つは、辞書上の差がありますが…少し検証してみると「差をつけなくてもいいのでは?」と思いました。

  

[人数-ヒトカヅ] にしか無い意味

2 一人前の人として数えられること。「人数に入らない」

この例文を見る限り、「あの子供は、まだ小さいため大きな荷物を運ぶ人数ひとかずに入らない」のような使い方をすると考えていいでしょう。

 

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【何を検証?】

本当に [ 人数ひとかず にしか無い意味] なのか

 

【方法】

同じ文の読み方だけ[ 人数ひとかず → 人数にんずう ] に変えてみる。

 

A「あの子供は、まだ小さいから大きな荷物を運ぶ人数ひとかずに入らない」

        ↓

B「あの子供は、まだ小さいから大きな荷物を運ぶ人数にんずうに入らない」

 

おそらく、みなさんもBに違和感を覚えないはずBのような使い方をしたことあると思います!

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つまり、私の提案としては・・・

 

「人数(にんずう)」の 意味に付け加えたらという提案です。

一人前の人として数えられること。

「人数に入らない」

 

辞書作りしてる人どうでしょうか? 

 

 

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ちなみに、[人数-ニンズウ] にしか無い意味

2 多くの人。大勢。「人数を集める」

これも読み方を変えて

 

人数にんずうを集める」

        ↓

人数ひとかずを集める」

 にしても違和感がないと思います。

※ただし、こちらに関しては「そもそも[ひとかず]という読み方をする人が少ない」ため使用例 として 適切か 分かりません。

 

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「人数(ひとかず)」の 意味に

 多くの人。大勢。「人数を集める」

これを付け加えてもいいと思いますが、もう少し過去の出典とか見つかってから考えても良さそうですね。

 

 

 

▼ [にんず/にんずう] どっちで収録 !?

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・人数

・多人数

・少人数

・大人数

・小人数

         ↑

[人数] を含む言葉は これだけあります。そして、辞書ごとに、[にんずう・にんず] どちらで収録しているか異なるようです。

出典:「人数」「多人数」「少人数」「大人数」「小人数」 - 国語辞典比べ

それから、見出しに使われている「数」の読み方が対義語同士で違うものがあるのも気になります。例えば岩波国語辞典では、「多人数」では「ず」、「少人数」では「ずう」という読みしか載せていません。対義語なのでどちらかに統一して載せるか、そうでなくても2つの読みがあることを示す方がいいのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

▼ 収録方法がセットではない?

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 普通に考えれば「多人数・少人数」は セット ですよね。しかし、「多人数」は載ってるのに、対義語「少人数」が 載っていない辞書もあるみたいです。 

参考Link:https://sites.google.com/site/kokugodict/entries/ninzu、「人数」「多人数」「少人数」「大人数」「小人数」 - 国語辞典比べ

 

 

 

▼ 「〇人数」の対義語

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対義語の関係としては自然なのは

・「多人数」⇔「少人数」

・「大人数」⇔「小人数」

ですよね。

 

しかし、さきほどの[国語辞典比べ]によると、

「多人数」⇔「小人数」

         ↑

このセットが対義語の関係と説明している国語辞典[]あるそうです。

 

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違和感バリバリですが、「絶対的な正解でもないが、間違いでもない」というのが私の考えです。

 

それと[大人数]の意味説明に[多人数]と説明してる辞書もあるため、[意味的に大人数と多人数の差はない]と考えてもいいでしょう。

 

 

▼ 構成する字だけでは対義語はつかめない

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 構成する1字を反対のものにして対義語を考える」という すべ を 用いると多人数⇔少人数」とすべきですが、必ずしも「多人数⇔少人数のようにしなければいけない」ということはありません。

 

 

他の語で考えてみましょう♪  

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[安物やすもの] の 対義語は、 [上物じょうもの] が 対義語にあたります。※一般論

 

ではこれを「少人数⇔多人数」で考えてみると…

[安物やすもの] の 対義語は、 [高物・難物たかもの  なんぶつ] が 対義語という考えになってしまいますが、これだとオカシイことになります。

 

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このことから、 「少人数⇔多人数」という対義語関係が『絶対』ではなく小人数⇔多人数」という対義語関係もアリなのではと思えませんか?

高物(読み)たかもの
〘名〙 首を獄門にさらされること。獄門の刑を受けること。
※歌舞伎・小春穏沖津白浪(小狐礼三)(1864)三幕「積る悪事の鳥居数〈略〉どうで始終は高ものか」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)

 

うわ‐もの〔うは‐〕【上物】 の解説
1 その土地の上に建っている建造物。不動産売買でいう語。

2 海の上層部にすんでいる魚。浮き魚。表層魚。

 

じょう‐もの〔ジヤウ‐〕【上物】 の解説
上等の品物。「上物のタイ」

 

 

  

 

 

 

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いかがでしたか?

 

「5つの小」の ニュースは、いいニュースとは思いませんでしたが…  [人数関係の言葉]を調べるキッカケになりました。

 

日本語は、様々な読み方があります。さらに、読み方ごとに意味が異なりがちな言語です。 

 

それは面白い要素である反面

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「それ間違ってるよ!」

「意味が違うよ!」 

「そんなのも知らないの!」

         ↑

などと[マウントを取る人] だらけです。

 

しかし、日本語を学ぶ理由が「マウントを取りたい」というのは残念すぎます。

 

・言葉の存在意義を考えましょう。

・言葉を学ぶ意味を考えましょう。

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そこから導かれるのは、言葉は本来、[相手に伝えたり・仕事の円滑なやりとりのため] に 学んでいるのではないでしょうか?

 

心安らぐ日本語ライフにしたいものです。

 

 

 

「5つの」とは?*1

 

キーワード

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こにんずう コニンズウ koninnzuu koninzuu 小人数、しょうにんずう ショウニンズウ shouninnzuu shouninzuu syouninnzuu syouninzuu 少人数、たにんずう タニンズウ taninnzuu taninzuu 多人数、おおにんずう おほにんずう オオニンズウ オホニンズウ ooninnzuu ooninzuu ohoninnzuu ohoninzuu 大人数、たにんずう タニンズウ taninnzuu taninzuu 多人数

にんじゅ ニンジュ ninju ninnju ninzyu ninnzyu、ひとかず ヒトカズ hitokazu ひとかづ ヒトカヅ ヒトカヅ、にんず ニンズ ninzu ninnzu

たいぎご タイギゴ 対義語 taigigo、だくおん ダクオン dakuonn 濁音、れんだく レンダク 連濁 renndaku rendaku

 

*1:「5つの」とは?

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 小人数こにんずう小一時間程度こいちじかんていど小声こごえ小皿こざら(に料理を分ける)・まめにマスク、換気、消毒

 参考:東京都 新型コロナ 最も高い警戒レベルに引き上げ | 新型コロナウイルス | NHKニュース