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【冬といえば、雪 語源】ゆきよし(斎潔)・かみのみゆき(神の御幸)・ゆき(斎忌)・ゆき(行き)【謂われ・考察】

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雪の語源説

ゆきよし(斎潔)→ゆき

ゆきよ(斎清)→ゆき

かみのみゆき(神の御幸)→みゆき→ゆき

これらは出典がある語源説である。

 

雪と同じ音属性にある言葉

ゆき(斎忌)

ゆき(行き)

雪に関係する部分も見受けられるため、これらも考察。

 

他にも出典などに乏しいものとして”緩水(ゆるやかひ)・冷気(ひゆけ)”などもネットで見るが出典などが明記されていない。

 

 

 

簡潔にまとめ:は[ゆき]という音とつながりが深い

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雪がはかなく消えることは邪気を消すにかかるとも考えられる。

・ゆき(行き)

雪がはかなく消える※どこかへ行く

・ゆきよし(斎潔)

邪気を消すことから”清めること”

・ゆきよ(斎清)

邪気を消すことから”いみきよめること”

・かみのみゆき(神の御幸)

神が”ゆき(行き)”たりすることをで清める

・ゆ

神聖なるもの

・き

酒、つまり[聖なる酒を奉る国]の意味

 

語源説を1説ずつ解説

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ゆきよし(斎潔)→ゆき

ゆきよ(斎清)→ゆき

かみのみゆき(神の御幸)→みゆき→ゆき

        ↑

に関しては世界大百科事典にて紹介あり。

ただし”ゆきよし(斎潔)”の意味がどこにも記載されていない。

[いみきよめる(忌み清める)]を意味する”ゆきよ(斎清)”の派生か?

雪 語源

(出典・参考 世界大百科事典 第2版)

雪の語源にはユキヨシ(斎潔),ユキヨ(斎清。いみきよめるとの意味)などから,〈やすく消える〉との意味から,あるいは神の〈御幸(みゆき)〉(神の降臨の意味)からきたなどとする諸説がある。いずれにせよ,古来日本文化の中心であった大和地方や京都では,雪の舞い下りるさまや,純白で積もってもすぐはかなく消える雪を風雅なものととらえ,月や花とともに雪を風流の代表にあげていた。

 

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かみのみゆき(神の御幸)

”みゆき”の意味が[偉い地位の人が外出すること]だ。

み‐ゆき【行=幸/▽御▽幸】
(出典 デジタル大辞泉@小学館:https://daijisen.jp/digital/)

行くことを敬っていう語。特に、天皇の外出をいう。行幸 (ぎょうこう) 。古くは、上皇法皇女院にもいったが、のちに御幸 (ごこう) と音読して区別した。

 

ということは”かみのみゆき(神の御幸)”

[神が外出すること]→[神の降臨]

とつながる。 

雪 語源

(出典・参考 世界大百科事典 第2版)

雪の語源には〜神の〈御幸(みゆき)〉(神の降臨の意味)からきたなどとする諸説がある〜

 

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ゆき(斎忌)

岩波古語辞典にある[ゆき(斎忌) ]の語源と意味を引用。

”ゆき-斎忌・悠紀・由基” 語源

 (岩波古語辞典 7刷発行 参考)

ユは神聖なるもの、キは酒、つまり[聖なる酒を奉る国]の意味

 

”ゆき-斎忌・悠紀・由基” 意味

大嘗祭のときに使われる新穀・酒料を出す国郡の一つ、その都度・諸国の中から占いによって定められたが、平安時代以降は近江国に定まった

 

"ユは神聖なるもの"

とあるように他の[ゆき]の語源説と共通している部分がある。

・ゆきよし(斎潔):清めて聖なるものとする

・ゆきよ(斎清):清めて聖なるものとする

・かみのみゆき(神の御幸):神なので聖なるもの

 

 

”キは酒、つまり[聖なる酒を奉る国]の意味”

とあるように他の[ゆき]の語源説と共通している部分がある。

こちらも[酒は聖なるもの]を指すだけでなかう[酒は清めに用いられる]

 

・ゆきよし(斎潔):清める

・ゆきよ(斎清):清める

・かみのみゆき(神の御幸):神によって清める

 

 

ゆき(行き)

まったく関係のなさそうに思える[雪]と[行き]だが、

世界大百科事典

古来日本文化の中心であった大和地方や京都では,雪の舞い下りるさまや,純白で積もってもすぐはかなく消える雪を風雅なものととらえ

と[行き]を照らし合わせると関わりが見えてくる。

 

・[行き]=どこかへ行くこと

・どこかへ行くと目の前から消える

・眼の前から消える←共通点→はかなく消える雪

 

雪 語源

(出典・参考 世界大百科事典 第2版)

いずれにせよ,古来日本文化の中心であった大和地方や京都では,雪の舞い下りるさまや,純白で積もってもすぐはかなく消える雪を風雅なものととらえ,月や花とともに雪を風流の代表にあげていた。 、

 

 

 

を[よき]と呼ぶ方言もあった!?

余談になるが、古い時代の方言としては[ゆき]ではなく[よき]という呼び方もされていた。

(出典:デジタル大辞泉小学館 参考)

よき-雪

「ゆき」の上代東国方言※万葉(8C後)一四・三四二三「上毛野(かみつけの)伊香保の嶺(ね)ろに降ろ与伎(ヨキ)の行き過ぎかてぬ妹が家のあたり」

 

 

 

 

 

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おまけ:データで見る”雪”

ワゴン式和語表記:ゆき-雪-YuKi-YK

意味:雪・白い色・白い物 

(学研全訳古語辞典 参考)

ゆき-雪 名詞

①雪。[季語] 冬。出典七番日記 俳文「ゆきとけて村一ぱいの子どもかな―一茶」[訳] ⇒ゆきとけて…。

②白い色。白い物。特に、白髪。▽比喩(ひゆ)的にいう。出典土佐日記 一・二一「わが髪のゆきと磯部(いそべ)の白波といづれまされり沖つ島守」[訳] ⇒わがかみの…。参考:和歌でも俳句でも、雪は冬の代表的な景物である。和歌では、「降る」「消(け)」「消ゆ」「解く」などの語を伴うことが多く、また、「行き」との掛け詞(ことば)となったり、雪を花に見立てたりもする。