和語の里(Wagonosato) - 日本語・データ化・考察 -

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【たゆまぬ努力 語源】絶ゆまぬ・弛ゆまぬ・絶え間ぬ【10パターン!!どれ!?】

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たゆまぬ努力=弛ま+ぬ+努力

 



[弛ま]=気がゆるむ意味[たゆむ]の未然形

[ぬ]=打消の助動詞「ず」の連体形。

[努力]=どりょく、何かを成し遂げるため頑張る意味

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合わせて”気をゆるめることなく努力”の意味

[弛む]自体も『[弛]+[]』と分解できます。

表記ブレ:たゆまぬ、タユマヌ、tayumanu、弛ゆまぬ、弛まぬ、弛ぬ

 

 

弛ゆまぬ努力

(出典:実用日本語表現辞典)

怠けることなく常に努力すること。勢いを緩めることなく、努力し続けること。 

 

 

類似表現の良し悪し10パターン

※単純な良し悪しを並べます、間違いの理由は次に解説します。o=良し、x=悪し

o弛ゆまぬ努力

o弛まない努力

 

x絶ゆまぬ努力

x絶えまぬ努力

 

oたゆまぬ努力

xたえまぬ努力

 

o絶えまない努力

o絶え間ない努力(絶え間のない努力)

o絶え間なき努力

x絶え間ぬ努力 

 

 このように似た言葉が、たくさんありますが日本語というのは そういう言語です。そもそも、「や行え」が「あ行え」と似ているから、表記を同じにしてしまっているし、似た音というのを間違いとするか、寛容するかで別れます。

  

▼[絶ゆまぬ]ではないのか?

[絶ゆまぬ努力]という表記も目にしますが、[絶]という字を使うなら[絶え間なき努力(絶え間ない努力) ]としなければ文法的に不自然になってしまうというのが一般的な見解です。

 

なぜ[絶ゆまぬ努力]が用法的に不自然かというと、[”弛む” の ”む”]形容詞の語幹などにつくものとされていて、[”絶ゆむ” の ”む”]も[”弛む” の ”む”]と同じように考えると語幹に接続されてないことがわかります。

【”む(M)” 意味】

(学研全訳古語辞典)

接尾語マ・四、マ・下二、

形容詞の語幹などに付いて、…のような状態になる(させる)、…のように振る舞う、の意の動詞を作る。「あか(赤)む」「かなしむ」「にがむ」「ひろむ」

 

「”絶ゆむ”の語幹は[たゆ]では?」という疑問が出ますが、”絶ゆむ・絶ゆる・絶ゆし”という言葉は辞書にて見つかりませんでした。

※ [弛ゆむ・弛ゆし]はあります。

 

 

 

 

「単純に[絶ゆ]+[む]では?」という疑問に対して

先ほど紹介した[む]は語幹に接続するのが おも、

もうひとつ[む]があり、そちらは未然形に接続。

 

しかしながら[絶ゆ=終止形]です。

※絶ゆ=え, え, ゆ, ゆる, ゆれ, えよ

つまり、正しく接続するなら

[絶ゆむ]ではなく[絶えむ(絶江む)]なので文法的にアウト。

x TaYuM

o TaYeM

 

 

 

 

▼和語式(マニア向け)

[絶え間ぬ・絶えまぬ]は文法的に不自然なのを式で説明します。ローマ字を用いているのでマニアにしかわからないと思いますが興味あれば見てください。

 

 

【絶えまぬ努力】

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[ TaY(意味:絶ゆ) ] 活用:TaYe

未然形は[絶え-TaYe]

[ M (意味:推量・意志・仮定・婉曲・勧誘) ] 活用:Ma

※接続:未然形、未然形は[ま-Ma]

[否定の”N”] 活用:Nu

※接続:未然形、Nは連体形で[ぬ-Nu]

[努力] 活用しない※体言

 ※接続:連体形・連用形など、この時は連体のNuに接続してるのでよし

 

 

【絶え間ぬ努力】

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[ TaY(意味:絶ゆ) ] 活用:TaYe 未然・連用 

※連体形は[絶ゆる-TaYuRu]、活用:え, え, ゆ, ゆる, ゆれ, えよ

[ 間 (意味:期間) ] 活用しない※体言

 ※接続:連体形・連用形など、この時は連用のTaYeに接続してるのでよし

[否定の”N”]

※接続:未然形、この時は体言のに接続してるのでおかしい

[努力] 活用しない※体言

 ※接続:連体形・連用形など、この時は連体のNuに接続してるのでよし

 

 

【”絶ゆ” 意味】

(学研全訳古語辞典)

自動詞ヤ行下二段活用、

A:絶える。途切れる。切れる、B:息が絶える。死ぬ。

 

【”弛む” 意味】

(学研全訳古語辞典)

A:動詞マ行四段活用{ま/み/む/む/め/め}

気がゆるむ。油断する。出典今昔物語集 二五・一二「この馬に付きて上る兵(つはもの)どものたゆむことのなかりければ」、

B:他動詞マ行下二段活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}

気をゆるめさせる。油断させる

 

【”ぬ(N)” 意味】

(学研全訳古語辞典)

打消の助動詞「ず」の連体形。

 


助動詞特殊型

《接続》活用語の未然形に付く。〔打消〕…ない。…ぬ。

 

 

 

 あとがき

日本語(その中でも和語)は数学的な考えが必要になります。といっても単純な足し算なので算数レベルさえできればよく[算数に加えて活用の変化・接続先]などを理解すれば構造がわかります。

 

とはいえ

[日常で話す場合、わざわざ計算して正しい活用などを組み合わせるのは難しいです。]

やはり言語としては日本語(その中でも和語)は難しすぎると思います。その難しい日本語を少し間違えてしまうくらい見逃してやってもいいと思います。

人の言語の間違いを指摘ばかりする人がいると話しにくくなって、増々 日本人はネクラになってしまいますよ。

 

ちなみに絶えの[え][あ行え]ではなく[[や行え]]です。や行えは昔50音表から削除されてしまってます。それを実際に書くと[絶江]みたいになります。

onbin.hateblo.jp

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